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アスコット、なんばの有形文化財に滞在型ホテル

「シタディーンなんば大阪」完成予想図
客室(スタジオデラックスツイン)

 シンガポールに本社を置くキャピタランド社の日本法人である(株)アスコットジャパンは19日、サービスレジデンス(滞在型ホテル)「シタディーンなんば大阪」(大阪市浪速区、全313室)を2020年1月18日に開業すると発表した。

 同社は、02年から事業を開始。フラッグシップブランドの「アスコット」、「サマセット」、「シタディーン」の3ブランドで滞在型ホテルを展開し、首都圏と京都で7拠点を運営している。「なんば大阪」は、大阪メトロ御堂筋線他「なんば」駅徒歩10分に立地。高島屋が事務所ビルとして使用してきた国の有形文化財でもある「高島屋東別館」の複合ビルへのリニューアルにあたり、キーテナントとして入居。ホテル運営を手掛ける。

 高島屋東別館は、1928年築。地上9階地下3階建て、延床面積約4万1,000平方メートル。アールデコ調の装飾、アーチやアーケードなど、昭和初期の華やかな百貨店建築が特長。これらの特徴的な外観と意匠、天井や梁、柱、階段などの造作を補修し残しながら、内部をホテル、史料館、事務所、倉庫、会議室等にリノベーションした。ホテル部分面積は1万7,000平方メートル、オフィス部分2,100平方メートル、高島屋史料館1,500平方メートル。改修費は、ホテル部分が89億円、オフィス等部分が56億円。

 「シタディーンなんば大阪」は1~7階部分に入居。客室面積は20~73平方メートル。家族連れの長期滞在も意識し、スタジオタイプ以外に、キッチンを備えた1ベッドルーム、2ベッドルームを27室設けた。共用施設としてジム、レストラン、ランドリーのほか、キッズルームを用意した。宿泊客には、高島屋の優待サービスや買い上げ品お届けサービス、通訳・ストアコンシェルジュなどの提供を予定。既存の7つのホテルはインバウンド比率が8~9割だが、今回は歴史的建造物ということから国内客の利用も半数近くになると見込む。客室単価は現在調整中。11月27日から予約受付を開始する。

 19日会見したアスコットジャパン代表取締役のタン・ライ・セン氏は「これまでは東京中心にホテルを展開してきたが、来日リピーターが増えており、東京以外でも存在感を出していかなければならない。今後は地方都市へも展開していく」とし、20年秋にはNTT都市開発(株)との協業により、ミレニアル世代をターゲットとした「ライフ福岡天神」(全131室)を開業する。

 また、高島屋企画本部賃料管理室長の津積 誠氏は「この建物の有効活用を検討し始めたのは5年前。いくつかのグローバルホテルチェーンにオファーをいただいたが、アスコットさんは建物と高島屋ブランドを気に入っていただいたことが決め手となった。日本橋は電気街のイメージが強いが、アスコットさんの協力も得て、新たなランドマークとして、まちの賑わいを創出していきたい。海外では、ホテルとデパートのコラボは一般的であり、今後も他のエリアの保有建物で検討していきたい」などと語った。

会見に臨むアスコットジャパンのタン・ライ・セン氏(写真右)と高島屋・津積氏


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