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住生活基本計画見直しで初の「勉強会」

 国土交通省は29日、社会資本整備審議会住宅宅地分科会委員による初の勉強会を開いた。

 2021年3月の閣議決定を予定している「新しい住生活基本計画(全国計画)」の策定にあたっては、見直しの視点とされている「ストック」「居住者」「産業・新技術」「まちづくり」のそれぞれについてより議論を深めるための勉強会と分科会を交互に開くことになっており、今回は「ストックの視点」に係る各種データの開示と、委員2名などによるプレゼンが行なわれた。

 深尾精一委員(首都大学東京名誉教授)は、建築構法の視点から既存流宅流通の課題を挙げた。日本の住宅は極めて多様かつ特性の違う構法が存在し、年代によって流通量がまちまちであること、戸建住宅と共同住宅の構法に共通項がなく、流通も維持管理も別分野となっていることなどを指摘。戸建住宅は高度な工業化によりカスタマイゼーションが進み、既存住宅流通時の顧客満足度をいかに高めるか、いかにマッチングさせるかが課題とした。

 野澤千絵臨時委員(東洋大学理工学部建築学科教授)は、空き家問題解決に向けた課題を提示。現在の空き家問題の根本的要因として、とりあえず空き家のまま置いておく「問題先送り」が大きな理由とし、「使えない・使わない空き家が解体に向かうためのインセンティブ」を構築すべきとした。住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例措置のため、空き家が解体に向かいにくいとし、流通や利活用に向けた取り組みや必要な管理が一定期間講じられない場合は、軽減措置を解除することや、解体費の助成など住宅を「たたむ」支援策の必要性、低額の空き家仲介に係る手数料のさらなる見直しなどを提案した。

 同会は、今日の提案等について、次回の分科会でさらに深堀りしていく。


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