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「大規模災害時に居住者を守る住宅を」/木耐協

「首都直下地震、南海トラフ地震など大規模な災害が起きた時、居住者を守れるような住宅を提供することが、われわれの使命だ」等と語る小野秀男理事長

 日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)は16日、東京国際フォーラム(東京都千代田区)で、第22回全国大会を開催した。

 冒頭、挨拶した同協会理事長の小野秀男氏は「今年で阪神・淡路大震災から25年目となる。備蓄など事後を見据えた対策も大切だが、やはり事前の防災、つまり住宅の耐震性の強化が重要になってくる。首都直下地震、南海トラフ地震など大規模な災害が起きた時、居住者を守れるような住宅を提供することが、われわれの使命だと思っている」などと語った。

 続いて、関西大学社会安全学部教授の元吉忠寛氏が「災害多発時代の到来と人々の心理」と題し、心理学的見地から今後の防災対策に求められること等について講演。同氏は、多くの人が日頃から災害対策や、早期の避難行動を行なわない要因について、「人は直接的な危機に瀕して感情を揺り動かされないと、行動を起こさないという心理的特徴がある」と述べた。
 さらなる要因として、「学習性無力感」についての実験を例に挙げ、「回避不可能な状況で電気ショックを与えられ続けた犬は、例え逃げ道ができても“何をしても無駄だ”と思い、行動を起こさなくなる。同様に、災害リスク情報でも過度な被害想定等を伝えると、多くの人は“どんなに対策しても無駄だ”と感じるようになる」と情報発信に関する課題を指摘。その対策として、「日頃の災害対策が、有事の際にどれほど役に立つのかという“有効性”に焦点を当てて伝えれば、人は行動を起こしやすくなる。そのような情報発信に切り替えるべきでは」などと述べた。

 続いて、東海大学海洋研究所所長の長尾年恭氏が「南海トラフの巨大地震と首都直下地震~地震予知研究の最前線と地震防災対策の盲点~」をテーマに最新の予知研究の成果等を発表、俳優・タレントの渡辺篤史氏が、自身が出演するテレビ番組「渡辺篤史の建もの探訪」での住宅の事例、経験などを基に講演した。


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