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ホテルの運営状況、3~5年先はやや悲観的

 (株)ザイマックス不動産総合研究所は29日、「ホテル運営に関する実態調査2019」を発表した。 

 早稲田大学小松幸夫研究室と共同で調査を実施。全国のホテル事業者(東京商工リサーチ社データでの企業売上高が5,000万~50億円)約3,300社を対象に、ホテル運営の実態に対するアンケートおよびヒアリング調査を実施。アンケートの有効回答数および有効回答率は628社、19.1%。ヒアリングは16社に実施した。

 調査によると、ホテルの事業開始年は約半数が「1990年以降」だった。総運営棟数は「1棟」が72%、総客室数は「100室以下」が66%だった。

 代表ホテル(ホテル事業者が事業を行なっているホテルの中から1つを選んだもの)においての事業者の立場は「所有直営(所有者・経営者・運営者を兼ねる)」が最も多く27%だった。ホテルのタイプは「ビジネスホテル」(42%)、ホテルの立地は「中心市街地」が41%という結果となった。
 代表ホテルの竣工年は「1999年以前(築20年以上)」が83%と約8割を占め、客室数は「100室以下」が71%。正規客室料金は「7,500円以下」が50%だった。

 宿泊者の外国人宿割合は「1割以下」が70%で、主な出身国・地域は中国(66%)が最多で、次いで台湾(62%)、韓国(47%)。建物・設備に関する施策については、「Wi-Fiの導入」(「実施済み・一部実施済み」と「実施を検討中」の合計=96%)、「建物の改修・共用部のリニューアル」(同74%)、「モバイル決済の導入」(同73%)の度合いが高かった。

 また、竣工年が 1999年以前と2000年以降の2グループに分けて比較したところ、「必要と思うができない」に大きく差が見られたのは「建物の改修・共用部リニューアル」(99年以前:24%、2000年以降:9%)、「個別空調の導入」(同:33%、同:17%)、「バリアフリー対応」(同:42%、同:21%)、「カードキーの整備」(同:40%、同:19%)、「耐震補強」(同:28%、同:12%)で、15ポイント以上の差が見られた。

 代表ホテルの運営状況については、業況(1年前から現在)は、「良い」と「やや良い」の合計が36%となった。一方で見通し(3~5年先)については「良い」と「やや良い」の合計が15%と半減し、今後の運営について不透明もしくは悲観的に捉えている事業者が多かった。

 今後のホテル運営に影響を与える要因については、「従業員の確保」(「そう思う」と「やや思う」の合計=86%)、「建物や設備の老朽化」(同83%)、「外部委託コストの上昇」(同73%)、「自然災害」(同55%)、「外国人宿泊者の増加」(同55%)、「ホテルの供給過剰」(同53%)などが挙がっている。


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