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日本の投資額、海外投資家が牽引し41%増/CBRE

 シービーアールイー(株)(CBRE)は14日、2020年第1四半期の投資市場動向を発表した。

 当期の世界における事業用不動産投資額は、2,350億米ドル(1ドル=108.97円で約26兆円、以下同)で、前年同期比で15%増加した。地域別に見ると、米州は1,210億ドル(約13兆円)と同8%増、欧州・中東・アフリカは第1四半期では最高となる920億ドル(約10兆円)を記録し、同46%増となった。一方、中国や香港、オーストラリアの投資額減少により、アジア太平洋地域は230億米ドル(約2兆5,000億円)で、同22%減となった。

 日本における事業用不動産の投資額(10億円以上が対象。土地取引・JREITのIPO時の取得物件は除外)は、海外投資家による取得額が増加したことより1兆円(同41%増)となった。投資主体別で最も大きかったのは、JREIT(42%)だったが、投資額は前年同期からほぼ横ばい。一方で海外投資家は4倍近い規模となっている。

 また、同社が実施している「不動産投資に関するアンケート-期待利回り」(回答期間:3月11日~4月14日)によると、東京の期待利回り(NOIベース)の平均値は、ホテル(運営委託型)、商業施設(銀座中央通り)、賃貸マンション(ワンルーム)が前期から5ps~20bps上昇。ホテル(運営委託型)は2期連続で上昇した。同調査で東京の主要アセットの期待利回りが2期連続で上昇したのは09年以来、およそ10年ぶりとなる。他のアセットタイプは横ばいで最低値を維持した。地方都市のオフィス期待利回りは、福岡は上昇したが、大阪と仙台が前期から低下して最低値を更新した。

 3月時点の東京Aクラスビルを対象としたCBRE短観(DI)は、全項目で悪化。「3ヵ月前と比較して売買取引価格は下落」「期待利回りは上昇」と回答した割合が前期から10ポイント以上増加した。物流施設(首都圏マルチテナント型)のDIも、「空室率」を除く全項目で悪化。ただし、「6ヵ月前と比較して変わらない」と回答した割合が7項目中5項目で増加しており、物流施設では市況感に大きな変化は見られなかった。

 なお、新型コロナウィルス感染拡大の影響で第2四半期の投資額は抑制される見込み。渡航規制や自粛により、海外投資家が物件視察のために来日することができず、取引を延期する事例が増加している。ただし「CBRE投資家意識調査2020」では、もともと投資家の投資意欲は高く、新型コロナウィルスの影響で「取得額を減らす」と回答した投資家は3月下旬でも2割弱に留まっている。業績悪化によるノンコアアセットの売却やセールス・アンド・リースバックを検討する事業会社が増加するとみられる一方、そうした事例に投資機会を見出す投資家も国内金融機関を中心に存在しており、同社では感染拡大収束の兆しが見えてくれば、再び投資額は増加すると予想している。


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