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長谷工、マンションのタイル打診検査にMR活用

「AR匠RESIDENCE」による打診検査の様子

 (株)長谷工コーポレーションは6日、(株)アウトソーシングテクノロジー(東京都千代田区、代表取締役社長:茂手木 雅樹氏)と共同で、日本マイクロソフト(株)(東京都港区、代表取締役社長:吉田仁志氏)のデジタル技術を活用した、マンションの外壁タイル打診検査のためのMR(Mixed Reality、複合現実)ソリューション「AR匠RESIDENCE」を開発。(株)長谷工リフォームが行なう関東エリアの建物診断に導入すると発表した。

 マンションの外壁タイルは、劣化による剥落リスクがあるため定期的に検査を実施しなければならないが、2人1組での検査が必要なほか、検査結果を手書きで記録し、その内容を元に会社に帰社後報告書を清書・集計するなど作業量が多く、効率化・自動化が遅れていた。また、近年は現場技術者の高齢化や不足という問題にも直面していた。そこで長谷工グループは、ITを活用した企業の生産性向上や働き方改革へのソリューションを提案しているアウトソーシングテクノロジーと、2019年10月から同検査を効率化するためのソリューションの共同開発を開始。20年6月に実証実験を行なった結果、全体業務の約3割を削減できると判明したことから、導入に踏み切った。

 「AR匠RESIDENCE」では、マイクロソフトの「ホロレンズ2」を装着した検査員が、打診検査と同時に検査項目を入力していくことで、人員を2名から1名に削減。また、従来は手書き後、改めて報告書に転記していた検査記録も、クラウドプラットフォームに保存するだけで自動的に報告書が生成できるようにした。

 同ソリューションは、7月から関東エリアでの検査(外廊下面のタイル打診検査)に導入。順次、全国へ広げていく。21年をめどに妻壁や足場上への適用範囲も拡大する。アウトソーシングテクノロジーは20年内に他の建設・リフォーム会社に向け、同ソリューションの販売受付とトライアル運用を開始する。また、マイクロソフトを含めた3社により、同ソリューションを皮切りとした建設・不動産業界の生産性改革や働き方改革への先端技術導入によるソリューションを提案していく。

 同日会見した長谷工コーポレーション取締役常務執行役員の楢岡祥之氏は「技術者の高齢化や減少に加え、新型コロナウイルス感染拡大による、リモートワークの増加といったニューノーマルの働き方に対応していくためにも、デジタル技術を活用した生産性改革を加速させる。現場の意見を聞きながら操作性等を改善し、検査範囲を拡大し、あらゆる診断をカバーしていく。マンションの新築工事の各種検査にも応用が考えられるし、今後は劣化状況の分析など収集したデータの活用も進めていきたい」などと語った。
 また、アウトソーシングテクノロジーの茂手木社長は「今後も、AIやRPA、ロボティクスなどの先端技術とエンジニアの融合により、長谷工様をはじめとした建設業界の効率改善と省人化を支えていく」などと抱負を語った。


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