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製造から販売まで。統合木材会社を設立/三菱地所他

左から4番目がMEC Industry・森下社長。右から4番目が三菱地所・吉田社長

 三菱地所(株)は27日、中高層建築・大規模建築物における木材利用促進を目的としたMEC Industry(株)(鹿児島県霧島市、代表取締役社長:森下喜隆氏)の設立を発表した。

 三菱地所ほか、(株)竹中工務店、大豊建設(株)、松尾建設(株)、南国殖産(株)、ケンテック(株)、山佐木材(株)ら木材活用に取り組む企業7社の出資により2020年1月24日に設立。7社の持つ強みを生かし、原木の調達、商品開発、製造から販売までのビジネスフローを統合し、中間コストを抑制したビジネスモデルを確立。経済合理的かつ実用的な資材開発により、エンドユーザーのニーズに合った商品を提供していく。

 自社生産拠点となる木材加工施設(鹿児島県湧水町)は、2022年4月(部分稼働21年4月)より操業する予定。鹿児島県・宮崎県・熊本県の国産材を使用し、CLT、2×4を中心に鉄筋コンクリート造・鉄骨造に木(もく)を取り入れた新建材を供給する「新建材事業」と、CLTパネルや集成材を使用したプレハブ化による戸建住宅等の供給を実現する「木プレファブリック事業」の2事業を推進する。

 「新建材事業」では、21年4月に三菱地所とケンテックによる共同開発・特許出願済みの新しい型枠材「(仮称)配筋付型枠」を発売する予定。通常廃材となる型枠材をそのまま天井の仕上げ材として利用することで、デザイン性の向上と、施工負担の軽減を可能とする。三菱地所が建設中のホテル「(仮称)大通西1丁目プロジェクト」(札幌市中央区、21年夏竣工)の37階の客室内天井部に採用する予定で、工事工程の簡略化・短期化を図るとともに、環境に配慮した客室内の木質化を実現する。

 「木プレファブリック事業」では、高品質・ローコストな規格型の商品を開発・供給することで、従来の木造と比べ施工の手間を低減し、工事期間を短縮。1,000万円未満の価格で、100平方メートルの平屋戸建ての供給を可能とする。

 設立10年となる32年に売上100億円を目指す。

 同日開催した記者発表会で、三菱地所(株)執行役社長の吉田淳一氏は、「この事業を取り組むのにふさわしい企業が集結した。7社力を合わせて革新的なイノベーション、新しい事業を起こし、森林大国日本の、豊かな自然、自然の防災、地方創生、SDGsを目指した取り組みを進めていきたい」と抱負を述べた。
 MEC Industry代表取締役社長の森下喜隆氏は、「ディベロッパー目線で建築費・原材料の高騰、地球環境への貢献という課題解決に取り組むため、新会社を設立した。テックの活用、材・工法の工夫など、既存の枠組みをイノベーションするところに我われの価値があると考えている」などと述べた。


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