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国交省、無電柱化推進へ論点整理

 国土交通省は31日、令和2年度2回目となる「無電柱化推進のあり方検討委員会」(委員長:屋井鉄雄東京工業大学副学長環境・社会理工学部教授)を開き、次期無電柱化推進計画に盛り込むべき施策の基本的な方向性について議論した。

 無電柱化は、防災対策の観点から市街地内の緊急輸送道路や、交通安全対策として幅員の狭い道路や歩道を対象に推進してきたが、これらは引き続き推進しつつ、農村部や山間部の防災対策としての無電柱化も検討対象にする方向性を示唆した。事業手法についても、従来の電線共同溝方式に加え、単独地中化や軒下配信方式、裏配線方式など安価簡便な手法など多様な事業手法を検討する必要があるとした。

 また、現在3ヵ年計画となっている無電柱化推進計画の事業期間については、無電柱化の平均的な事業期間が7年であること、最終的な目標や中期的目標が無いといった課題へ対応するため、社会資本整備重点計画(5年)などの期間を踏まえ設定し、アウトカム目標についても中長期的な目標や整備完了予定の記載の検討が必要ではないかとした。このほか、沿道民地にある電柱の地中化を進めるための新たな制度や、無電柱化が地価上昇に寄与する効果等を反映した施策の検討もすべきとした。

 委員からは、無電柱化により国土がどのような姿になるのかという具体的なビジョンを示すべきといった意見や、無電柱化のコストと無電柱化しなかった場合の災害時の復旧コストとの比較など長期的なメリットの提示、先進的事例や具体的手法、補助事業等の情報についての自治体の首長など関係者への周知、無電柱化を推進するべき場所の整理などの意見が出された。

 同委員会は、8月28日の次回会合で、次期推進計画に盛り込むべき施策項目の基本方針をとりまとめ、9月以降に個別施策について議論を進める。 


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