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自然災害への備えをテーマにセミナー/東京ビル協

基調講演に登壇した土屋氏は、「知って、恐れて、備える」ことの重要性を繰り返し述べた

 (一社)東京ビルヂング協会は3日、防災特別セミナー「自然災害に備える」を日本工業倶楽部(東京都千代田区)で開催。コロナ禍での三密をさけるため、定員を40人に限定して実施した。

 基調講演には、(公財)リバーフロント研究所技術審議役の土屋信行氏が登壇。気候変動により降雨量の増加、海水面の上昇などが確認されている状況を分かりやすく解説すると共に、近年多発している豪雨・洪水災害、およびその被害状況などを振り返り、対策の必要性などについて力説した。土屋氏は、「平成30年7月豪雨の避難率は非常に低かった。恐れがないために、逃げないという行動につながり、被害が増えたと思われる。『知って、恐れて、備える』ことが重要」と強調。浸水被害が発生したエリアにありながら、水害BCP対策により医療を継続できた順天堂病院(佐賀県杵島郡大町町)の例も紹介しながら、災害への備えの重要性について解説した。

 続いて、同協会中小ビル事業委員会幹事の清宮 仁氏((株)昌平不動産総合研究所取締役)が、6月に(一社)日本ビルヂング協会連合会が刊行した「災害対応マニュアル2020年版」について説明を行なった。06年の発行以来2度目の改訂版発行となった今回のマニュアルには、地震、台風(風水害)、火事、共通で色分けし、それぞれ具体的な対策方法、対策のチェックリスト、モデル文例を盛り込んだ。
 初の試みとして、別冊で、テナントにも知ってほしい情報を厳選してまとめた「テナントの皆様の災害対応マニュアル」も作成。その目的や内容についても説明を行なった。

 清宮氏は、「ビルの備えは『中小ビルの災害対応マニュアル』、テナントの備えは『テナントの皆様の災害対応マニュアル』、個人の備えについては『防災ポケットブック』を活用して、それぞれに備えと対策を進めていだきたい。なお感染症対策については、今回の改訂には間に合わなかったが、次回にはコロナ禍で経験した知見などを盛り込みたい」と語った。


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