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ニューノーマル等に対応した都市政策のあり方検討会、初会合

 国土交通省は6日、「デジタル化の急速な進展やニューノーマルに対応した都市政策のあり方検討会」(座長:出口 敦東京大学大学院新領域創成科学研究科社会文化環境学専攻教授)の初会合をWeb会議にて開催した。

 デジタル化の急速な進展や新型コロナ機器がもたらすニューノーマルなどを背景に、市民の生活スタイルや社会経済システムがドラスティックに変容している。同検討会では、最近の都市政策の動向等を踏まえ、社会的変化に対応しつつ、都市アセットの利活用を通じた市民のQoL(Qualty of Life)の大幅な向上を図るため、「今後目指すべきまちづくりの方向性」がどのように変化していくのか、また、「これを実現するための都市政策をどのように変革していくべきか」を基本論点としていく。

 今回は、「目指すべきまちづくりの方向性」として、(1)デジタル化の急速な進展やニューノーマルへの対応により、生活スタイルや都市活動にどのような変化が生じているのか、また、(2)こうした生活スタイルや都市活動の変化により、今後目指すべきまちづくりの方向性はどのように変化していくのか、について検討した。

 事務局は、(1)についてIoTやAI、センシング技術、通信技術等の発展や新型コロナ危機を契機として、都市を巡る状況にもさまざまな変化が起きていると指摘。今後「リアルタイムな人流等の把握による都市活動の可視化やビッグデータ分析による都市活動のシミューレーション等の新技術を取り込んだまちづくりの必要性」や、「過密を避けるため、運動・仕事・食事等さまざまな場として活用されるゆとりあるオープンスペースに対するニーズの高まり」といった変化等を挙げた。

 また、(2)については、ニューノーマルに対応するための都市の役割分担・機能分担として、「大都市:競争力を高めるための、クリエイティブな人材等を惹きつける環境の整備や、文化・芸術等リアルの場ならではの価値の充実」、「郊外:多様な世代や属性の人々が暮らしやすい、住む・働く・憩う等さまざまな機能を備えた居心地の良い空間等の充実」、「地方都市:豊かな自然環境を生かした、まちなかにおける快適な交流・滞在空間等」といった役割分担がなされていくのではないか、と指摘した。

 委員からは、「QoLは人によって異なるので、ある一定の共通認識が必要」、「都市の役割分担として、本社機能都市(大都市)はテクノロジーを導入しやすいが、生産機能都市(小規模都市)は難しい場合もある。そうした違いが出てしまわないようにするための工夫がほしい」、「まちづくりに関しては、市民の関心が低い場合もある。生活者の目線に立ったデータをオープンにすることで、理解を得ることも必要」といった意見が挙がった。

 座長の出口氏は「社会がどのように移行していくかが見えないときだが、こういう時だからこそ、『あるべき』社会を議論できるタイミングだと思う」と述べた。

 今回を含め、2020年度中に6回の会合を開催予定。21年3月にはとりまとめを行なう。次回の開催は、11月2日(月)。


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