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不動産取引電子化について活動報告

 (一社)不動産テック協会(RET)は8日、同協会不動産取引電子化部会の活動報告会をオンラインで開催した。同部会は、不動産取引にデジタル技術を活用することでスムーズな取引を実現することを目的としたもので、検討会の実施やセミナー開催、パブリックコメント提出などを行なっている。

 報告会では、賃貸・売買取引における電子化の現状および同部会の取り組みを紹介。賃貸取引については、同協会理事で(株)UPDATA(旧・ダイヤモンドメディア(株))代表取締役の岡村雅信氏が説明。同氏は現状の課題について「重要事項説明書や37条書面など紙の書類は法的に必要だが、賃貸に関しては実証実験も進んでいる。一方で、管理受託から条件決定、募集、申込・契約、入居、退去という一連のフローをすべて電子化するには複数サービスと組み合わせる必要があり、実現の難易度が上がってしまう」などと語った。

 また、売買については、同協会理事の浅海 剛氏((株)コラビット代表取締役)が登壇。重要事項説明書作成のための調査実務に時間がかかることが問題だとして、「調査業務を電子化し、パソコンで調査することができれば、日本全体で年間2,271万時間の削減になると試算できる。労働人口減少と既存住宅流通の増加の局面では非常に効果的だ」などと話した。

 その後、岡村氏、浅海氏および落合孝文氏(渥美坂井法律事務所弁護士)、橘 大地氏(弁護士ドットコム(株)取締役)の同部会担当理事4人による、電子契約をテーマとしたパネルディスカッションを実施。電子契約の効果について橘氏は「短期的には消費者が部屋を借りる際の手続きが楽になる。そうすると、対応していない管理会社が選択肢から外れる可能性がある」と語った。また、今後の課題について落合氏は「法的なハードルについては実証実験なども進んでいるが、その後は不動産会社の“慣れ”など経験の共有が必要になってくる」などと話した。


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