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地場景況感、前期から大幅改善も低水準

 不動産情報サービスのアットホーム(株)は2日、「地場の不動産仲介業における景況感調査」(2020年7~9月期)の結果を発表した。

 北海道、宮城県、首都圏(1都3県、東京は23区と都下)、静岡県、愛知県、近畿圏(2府1県)、広島県、福岡県の13都道府県14エリアにおいて、前年同期と比較した業況判断指数(DI)を算出。「50」を前年並みとする。アットホームの全国不動産情報ネットワーク加盟店のうち、都道府県知事免許を持ち5年を超えて不動産仲介業に携わる不動産店の経営者層を対象にインターネットで調査した。調査期間は9月12~25日。有効回答数は2,038店。

 当期の賃貸仲介の業況DIは、首都圏で34.9(前期比9.0ポイント上昇)、近畿圏34.0(同10.6ポイント上昇)。共に前期(4~6月期)は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて調査開始以来の過去最低で、当期は大幅に改善したものの水準自体は低位だった。
 全国14エリアのうち、千葉県を除く13エリアでDIが改善したものの、DIが40以上になったエリアはなく、12エリアが30台で、静岡県と宮城県は20台にとどまった。前年同期比も宮城県を除いたエリアでマイナスとなっており、全国的に低水準だったことがうかがえる。

 売買仲介は、首都圏で39.8(同13.2ポイント上昇)、近畿圏33.2(同10.4ポイント上昇)と、過去最低値だった前期から大幅に上昇した。
 全14エリアで上昇し、このうち8エリアでは10ポイントを超える上昇幅で、6エリアで40超を記録。特に千葉県は46.4(同18.4ポイント上昇)と、前年並みに迫った。

 20年10~12月期の見通しDIについては、賃貸仲介では首都園が34.7、近畿圏が35.8と、おおむね横ばいでの推移となった。エリア別では、半数の7エリアが7~9月のDIよりも上昇すると予測。ただし、京都府以外の全エリアが30台以下となるなど慎重な姿勢がうかがえる。
 売買仲介については、首都圏が38.0、近畿圏が33.1といずれも7~9月期と同水準での推移となった。エリア別では、12エリアで下向きの予測となった。

 不動産店からは、「郊外への流出傾向が顕著」(賃貸:東京都世田谷区)や、「都心から郊外への転居者が増えた」(賃貸:東京都調布市)、「テレワークの普及により23区外やバス便、郊外物件への関心が高くなった」(売買:東京都武蔵野市)、「郊外の戸建てを探す人が増えた」(売買:名古屋市)など、郊外への人の動きが活発化しているようすがうかがえる。また、「退去がほとんどなく、入居もない」(賃貸:千葉市)、「コロナ禍でお客さまが少ない」(売買:東京都豊島区)など、市場の停滞を危惧する声も多かった。


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