(一社)不動産テック協会(RET)は10日、同協会物件流通部会の活動報告会をウェビナー形式で開催した。
報告会では、日本大学経済学部教授の中川雅之氏が「COVID-19及び人口減少下の不動産流通」と題して講演。中川氏は「これまで、人や産業の集積によって生産性を向上する“都市”という技術を活用してきたが、コロナ禍においては人の集積によって感染が増えてしまった。しかし、分析すると重篤化を防ぐ医療サービスを受けられるのも都市部であるという結果も出ている」と話した。また、スペイン風邪の流行や第二次世界大戦などの都市(=人・モノの集積)化に対するネガティブな要因があっても、都市化は止まらなかったというデータを提示して、「今後も都市化の流れは変わらないだろう。しかし、コロナ禍においては人が集積していなくても、テレワーク等によって生産活動が継続できるという選択肢が与えられた。テクノロジーをビジネスや生活に持ち込むという意味で大きな出来事だ」などと話した。
続いて、(株)さくら事務所代表取締役会長の長嶋 修氏が「不動産市場 10年後はこうなる」をテーマに講演した。長嶋氏は都市部の市場動向などを通じて現状を分析。さらに、自治体経営も今後の不動産価値に大きく影響するとし、「コミュニティの成熟度等が不動産の価値につながっていくのではないか」などと話した。
その後、中川氏、長嶋氏と(株)至真庵代表取締役でインパクト投資家の陶山祐司氏、同協会理事の武井浩三氏、浅海剛氏、落合孝文氏が「不動産中古流通におけるテクノロジーの利用可能性」をテーマにパネルディスカッション。コロナ禍をきっかけに既存住宅流通に起きた変化や、都市計画のグランドデザインの在り方等、幅広いテーマで意見交換した。

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