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JR東・西武HD、ワ―ケーション拡大へ連携

ワ―ケーションなど、ユーザーのポストコロナの行動変容に対応したビジネスモデルの普及へ向け両社で連携する(左が深澤JR東日本社長、右が後藤西武ホールディングス社長)

 東日本旅客鉄道(株)(JR東日本)と(株)西武ホールディングスは23日、「新たなライフスタイルの創造×地方創生」をコンセプトとした包括的連携を行なうと発表した。

 新型コロナウイルス感染症を契機としたユーザーの価値観・生活様式の変化へ迅速に対応するため、両社のリソースを組み合わせ新たなライフスタイルを生み出すのが狙い。(1)新しい働き方・暮らし方の提案、(2)まちづくりに向けた長期的な連携、(3)沿線活性化に向けた連携を柱とし、両社でさまざまな取り組みを来春から順次実施。それらを首都圏から地方へと拡大し、関係人口の拡大と移動の活性化による地方創生へとつなげる。短期の収益化にはこだわらず、新たなビジネスモデルの拡大に注力する。

 (1)では、ワーケーションの浸透拡大やステーションワークの拡大を図る。ワ―ケーションの認知度は高まってきたものの、企業のニーズに合った十分なサービスが提供できていないという課題を踏まえ、JR東日本の交通ネットワークと、全国各地のプリンスホテルを活用した新たなワ―ケーション商品を提案する。地域社会への貢献を取り入れた「ボランティアワ―ケーション」を軽井沢を起点に商品開発。雫石や苗場など他のエリアへも展開する。
 JR東日本の新幹線往復チケット・レンタカーとプリンスホテルの宿泊、移住アドバイザーのサポート等をパッケージ化した「移住トライアルプラン」や、企業向け健康経営やチームビルディング等の研修メニューを組み込んだ企業向けワ―ケーションも提案するほか、滞在期間中のゴルフプレーやスキー場リフト券をセットにしたワ―ケーションプランも発売する。

 また、JR東日本の駅構内50ヵ所にブースを展開する「ステーションワーク」とプリンスホテル各施設が提携。23年度までにテレワーク拠点を1,000ヵ所へ増やす。西武鉄道沿線にもJR東日本の「ステーションブース」を展開するほか、プリンスホテル6館で半日単位で利用できるワ―ケーションプランを開始する。

 (2)では、観光や生活に利用できる地方の足づくりや、JR東日本の高輪ゲートウェイエリア再開発とプリンスホテルの連携といった、MaaSを活用したモビリティサービスを提供するほか、池袋、高田馬場といった両社の事業エリアが近接するエリアでのまちづくりで連携を図り全体最適を目指す。(3)では、MICEの地方分散による地方創生や、SDGsや地方創生をテーマとしたスタートアッププログラムでの連携を図る。

 同日会見したJR東日本代表取締役社長の深澤祐二氏は「当社は新幹線をはじめとした長距離鉄道網でネットワークされたリアルな拠点があり、西武さんには全国に点在するホテル・レジャー施設がある。これらとDX、MaaSを組み合わせ、ポストコロナの行動変容に対応した新たなビジネスモデルを提案していく」などと抱負を語った。また、西武ホールディングス代表取締役社長の後藤高志氏は「両社のリソースを活用してワ―ケーションのさまざまなモデルケースを作り、その需要を地域活性化につなげるほか、移住トライアルを空き家問題を解決につなげるなど、ユーザー、企業、地方ともメリットのある“三方良し”を目指す。両者の連携で、コロナでシュリンクした地方や日本を元気にしたい」などと語った。


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