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家賃債務保証事業者が情報を共有/国交省

 3日、国土交通省住宅局安心居住推進課主催の「家賃債務保証業者会議」が開催された。

 会議では、同省が昨年10月に実施した調査結果に基づき、家賃債務保証業の現況を報告。それによると、管理会社が個人の連帯保証人に代えて家賃債務保証業者を利用させるケースは年々増加しており、今回の調査では利用するケースが約8割を占めた。前回(2018年)調査の約6割から大きく伸びている。家賃債務保証業の利用率が増加する一方、賃借人の認知度はいまだ低く「あまり知らない・まったく知らない」が6割超であることも分かった。家賃債務保証全般に関する苦情・相談件数は、10年度の741件がピークに。14年度以降は600件台前半で推移しており、19年度は大きく減少し500件を下回った。

 引き続き、(公財)日本賃貸住宅管理協会・家賃債務保証事業者協議会の取り組みについて発表。コロナ禍における居住用建物の新規契約数の推移、家賃滞納率の推移等のアンケート結果によると、第1四半期(20年4~6月)は前年度比で新規契約数が減少傾向、家賃滞納率が増加傾向にあった。しかし、第2四半期(同7~9月)以降は新規契約数が増加傾向、家賃滞納率が減少傾向であることが分かった。今後、業務適正化にかかる自主ルールの遵守徹底、コロナ感染症に関連した行政支援の紹介、保証委託契約書等のモデル雛型の普及促進、契約書の電子化等に取り組んでいくとした。現在の会員数は85社。

 また、(一財)高齢者住宅財団企画部長の落合明美氏をコーディネーターに、アーク(株)家賃債務保証部門営業本部本部長の佐藤哲也氏、(株)アドヴェント代表取締役の梅田弘次氏、エルズサポート(株)営業本部営業部大阪支店担当課長の伊佐拓馬氏、日本セーフティー(株)経営管理本部取締役本部長の森 渉氏らパネリストによるパネルディスカッションを実施。
 「岩手県は、住宅確保要配慮者向け登録住宅が少なく高齢者が多い。登録外の住宅への入居者に対しては、保証内容の調整や外部提携による付帯サービスを組み合わせるなど、手厚いサービスを提供することを心掛けている」(佐藤氏)、「コロナ禍では、家賃の滞納率と未回収率がともに増加した。賃借人の生活困窮をサポートする取り組みとして、就業支援や新たな住居確保も兼ねた行政サービスの活用や、食糧支援・フードバンクの利用などを行なった」(梅田氏)、「家賃債務保証業登録制度に登録している事業者には、(独)住宅金融支援機構による家賃債務保証保険の引受対象となるなど、さまざまなメリットが付与される。こうしたメリットにより、社会貢献度の向上につながる」(伊佐氏)、「賃借人が保証会社を選べないことへの不満もあると思うが、逆に自由に選べるようになることで価格競争に陥る危惧もある。どうするかが今後の課題の一つ」(森氏)といった意見が出された。


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