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適取機構、改正民法の講演会を1ヵ月間オンライン配信

 (一財)不動産適正取引推進機構は1日、「不動産賃貸借をめぐる最近の情勢~民法改正と新型コロナウイルスの影響~」と題したオンライン講演会の配信を開始した。配信期間は31日まで。

 佐藤貴美法律事務所の弁護士・佐藤貴美氏が、2020年4月1日に施行した改正民法が不動産賃貸借実務どのような影響を及ぼしているか、また、コロナ禍においての賃貸借契約の考え方など、最近の不動産市場における賃貸借契約関連のポイントを解説。連帯保証人の極度額設定について、保証契約を書面で交わすことが義務付けられている改正前からの規定に基づき、極度額設定についても書面化しなければ無効になるとした。「ただし、別に保証契約書を作成することまでは義務付けられておらず、例えば賃貸借契約書に保証条項を加え、保証人の記名・押印を得るかたちでも構わない。重要なのは保証人が極度額の内容をきちんと理解すること」と話した。

 また、改正前の民法で締結した賃貸借契約を、改正後に更新した場合の取り扱いについて、契約期間の満了によって当事者(貸し主・借り主)間で合意して契約を更新する「合意更新」の場合は改正民法が適用されると話した。一方、借地借家法の規定に基づき当事者の一方が更新しない旨を通知しなかった場合に、従前の契約と同一条件で契約更新したとみなされる「法定更新」は改正前の民法が適用されるという。「合意更新の場合でも、トラブル回避のために改正民法の説明はしておくことが肝要」(同氏)。

 コロナ禍の影響については、賃料減額の必要性や賃貸借契約の終了に関する解釈について紹介。賃料減額については、民法611条(物件の一部滅失等による賃料減額)や、借地借家法32条(借賃増減請求権)の規定に照らし、特殊な場合を除いて適用は困難だとした。「貸し主・借り主双方が厳しい状況であり、基本的には当事者間の協議に基づいて決定されるべき。長期的な経営の視点に立って検討することが重要だ」(同氏)。

 なお、同講演会は3月19日まで申込期限を延長。定員は200人、聴講料は1人5,500円。詳細・申し込みは同機構ホームページを参照。


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