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ニューノーマルに対応した都市政策、中間とりまとめ

 国土交通省は22日、6回目となる「デジタル化の急速な進展やニューノーマルに対応した都市政策のあり方検討会」(座長:出口 敦東京大学大学院新領域創成科学研究科教授)を開催。中間とりまとめを発表した。

 コロナ禍における国民の生活様式の変化等を踏まえ、目指すべき方向性として「市民一人ひとりの多様なニーズに的確に応える(人間中心・市民目線のまちづくりの深化)」「ニーズに対応して機敏かつ柔軟に施策を実施(機動的なまちづくり)」を打ち出し、地域の資源として存在する官民の既存ストック「都市アセット」を最大限に利活用し、市民のニーズに応えていくことが重要であるとした。
 都市アセットの使い方や生かし方についての事例を明示。「職住遊の融合など、官民の都市アセットの一体利活用による空間づくり」「空き家をコワーキングスペースにするなど、都市アセットのリノベーション」「街路・オープンスペースなど、都市アセットを可変的・柔軟に利活用」などを挙げた。

 また、目指すべきまちづくりの方向性に向けた取り組みとして、官民の多様な主体によるビジョンの共有、“自然や景観・歴史文化”“人や企業”などの地域資本の活用の活用を示した。具体例として、「都市アセットのポテンシャルを引き出す空間づくり」「使われていない土地や限られた空間の有効活用」「デジタル技術を活用した都市サービスの提供」「データ整備・共有に向けたルールづくり」などを記載した。

 委員からは「従来こういったとりまとめでは、予定調和的なものが多かったが、今回のとりまとめでは多様化・不確実性を内包した新しい方向性を示すことができた」(出口氏)、「機動的なまちづくりに含まれる、小さな圏域でそれぞれの地域に合った多様な取り組みをトライ&エラーを繰り返しながら進めていく考え方は、これまでの都市政策になかった新しい発想。今後は国によるフォローアップが重要になっていく」(中川雅之日本大学経済学部経済学科教授)、「使われていない土地や限られた空間の有効活用等については、それらを促す仕組みが必要になるだろう」(村木美貴千葉大学大学院工学研究院地球環境科学専攻教授)などのコメントが挙がった。

 同省は、今回の検討会で委員から指摘のあった軽微な修正を反映した上で、近日中に最終版を公表する予定。同とりまとめ内容を実現していく上で必要な制度設計のほか、用途変更など既存制度の柔軟化についても検討していく。


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