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RET、不動産IDの今後について意見交換

 (一社)不動産テック協会(RET)は25日、「不動産IDがもたらす不動産革命」をテーマにオンラインセミナーを開催。約150名が聴講した。

 セミナーでは、同協会代表理事の巻口成憲氏(リーウェイズ(株)代表取締役)が、情報流通部会の取り組みについて報告。近年、不動産情報の電子化が求められている中、不動産情報、取引情報、保守修繕情報などの蓄積・集約・共有する仕組みづくりが急務となっているとし「当協会が不動産を識別し、同定するための不動産共通IDを開発・展開することで、散在する不動産情報の連携が可能となる環境を提供していく」と話した。

 しかし、現状の不動産情報は、共通して利用できる通し番号は存在しない。「住所」「物件名」などで物件を特定しているため、表記ゆれが頻発に発生しやすく、そのたびに情報修正する状況が続いている。そこで、同協会は地図開発を得意とする(株)Geoloniaと共同で、不動産の基盤データを構築。不動産業界全体における情報連携を推し進め、データ活用の幅を広げるよう取り組んでいる。4月15日に、不動産共通IDのベータ版をAPIとして無償提供する。正式サービス時には、正規化された住所や物件名を逆引き取得できる有料のプランも提供する予定。

 続いて、不動産共通IDの今後についてパネルディスカッションを実施。参加した同協会理事らが意見交換した。
 「不動産業界はデータの取り扱いが難しいのがネックとなっている。不動産共通IDを通じて、各社ごとのデータが取り扱いやすくなることでDXを推進できる環境も整うのでは」((株)UPDATA代表取締役・岡村雅信氏)、「大手企業では、賃貸管理・マンション管理の情報や建築時の情報などを、グループ内で共有されていないことがある。1企業内だけでも不動産共通IDを活用できれば、情報共有により業務効率化につなげられる」((株)ライナフ代表取締役・滝沢 潔氏)、「コロナに端を発し、物流事情は大きく変化した。自動配送・自動運転などが発達し、人が介する機会が減っていく分野では、精度の高い情報が求められる。複数の情報を掛け合わせることで精度が上がるが、不動産共通IDもその一つ」((株)サービシンク代表取締役・名村晋治氏)、「修繕・属性情報などを有する不動産データは、都度変化する『流通可能性のある価値あるデータ』。当協会が公明正大な立場で不動産共通IDの整備を推進していく」(巻口氏)。


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