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20年下期の不動産取引規模、2兆円台を維持

 (一財)日本不動産研究所は1日、「不動産取引市場調査」(2020年下期)の結果を公表した。JREITや東京証券取引所等の公表事例を独自に集計し、01年上期以降、約2万9,000件の取引事例を収集してデータベース化している。

 2020年の不動産取引市場の規模は、上期2兆5,000億円、下期2兆3,000億円。コロナ禍に見舞われながらも、2兆円台をキープした。なお、市場規模は07年上期に約3兆円でピークを迎え、その後リーマン・ショックにより08年下期には約1兆円にまで縮小。1兆円前後での推移が続いたものの政権交代後の13年上期から急拡大しておおむね2兆円台を維持している。

 アセットの構成は、コロナ禍の影響を受けホテルや商業の取引金額が減少する一方、Eコマースによる需要拡大等により物流の取引額が大幅に増加した。19年ごろから続いていたレジデンスや物流に注目する動きが、コロナ禍で加速した形だ。

 取引主体は、JREITがリーマンショック以降唯一買い越しを続けており、存在感を増している。ただし、一度JREITが物件を取得すると売却するケースは限定的なため、市場でのモノ不足感を生み出す要因にもなっている。コロナ禍においても市場構造に大きな変化はなく、市場の下支えになっている。

 外資系プレーヤーの取得金額については、20年上期が約7,600億円、下期は約4,300億円となった。上期に比べて下期は大きく減少したものの、買い越しに転じており、外資系プレーヤーが企業の不動産売却の受け皿になっていることがうかがえる。


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