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省エネ基準適合義務化に向けとりまとめの素案

 国土交通省は3日、経済産業省、環境省と合同で進める「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」(座長:田辺新一早稲田大学創造理工学部建築学科教授)の4回目の会合を開催。とりまとめの素案を発表した。

 住宅・建築物における省エネ対策の強化については、新築の住宅・建築物は、(1)省エネ基準への適合義務化により、省エネ性能を底上げするために基礎となる取り組み(ボトムアップ)、(2)誘導基準やトップランナー基準の引き上げとその実現に対する誘導により、省エネ性能を段階的に引き上げていくための取り組み(レベルアップ)、(3)誘導基準を上回るより高い省エネ性能を実現する取り組みを促すことにより、市場全体の省エネ性能の向上、牽引するための取り組み(トップアップ)を段階的に推進すべきとした。これらの取り組みによって「2030年における平均でZEH・ZEBの実現」を確実にしていく。

 ボトムアップに当たっては、現行の省エネ基準を採用し、中小事業者に対しての技術向上の支援、基準の簡素合理化などが重要であるとした。その後、ボリュームゾーンのレベルアップを進め、省エネ基準を段階的に引き上げるべきとした。その一環で、建築物省エネ法に基づく誘導基準や長期優良住宅、低炭素建築物の認定基準を、ZEH・ZEBの水準の省エネ性能にまで引き上げ、整合させるべきと言及。また、住宅トップランナー制度に分譲マンションも加えるべきとしている。同制度におけるトップランナー基準についても、ZEH水準の省エネ性能に引き上げることを示した。トップアップについては、ZEH+やLCCM住宅などより高い省エネ性能を実現する取り組みを促進すべきとしている。

 既存住宅の省エネリフォームについては、適した建材・工法等の開発・普及、改修前後の合理的・効率的な省エネ性能の把握方法についての検討、耐震性のあるストックについては、部分改修など効率的・効果的な省エネ改修を促進などが重要であるとした。

 再エネ利用拡大に向けては、民間の住宅・建築物においても太陽光発電の活用は重要であるとし、各主体が設置の適否を判断できる適切な情報発信などを推進。30年を見据え、さらなる設置拡大に向けた土壌づくりを進めるとした。

 委員からは「現行の省エネ基準は最低レベルであることを明確にする」「既存住宅への省エネ基準適合への義務化が難しいことは分かるが、省エネ化に誘導するための詳しい記載がほしい」「再生エネルギーについては太陽光発電以外についても記載すべき」「実効性を保つ表現がほしい。ロードマップを設定するなど、年単位の目標値を設定することを言及すべき」などの意見が挙がった。

 次回は、とりまとめ案について検討する。


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