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不動産学会「業績賞」、国土交通大臣賞に三井不

 (公社)日本不動産学会は、2020年度「業績賞」を発表。4日に行なわれた春季全国大会で表彰を行なった。

 国土交通大臣賞は三井不動産(株)の「わが国初の既存ビルを含めて非常時でも電気と熱の安定供給を実現した『日本橋スマートエネルギープロジェクト』を確立させた街づくり」。東日本大震災をきっかけとしてスタートしたプロジェクトで、中圧ガスを活用したガスコージェネレーションシステムを導入。専用の供給ネットワークを経由し、約20棟・延床面積約100万平方メートルに電力と熱を供給する。平常時には排熱の有効利用によるCO2排出削減、非常時には電力の安定供給による都市防災力の強化と企業のBCPに寄与する。新規開発エリアだけでなく、既存ビルも含めたより広いエリアを対象としたことがポイントで、技術的な困難性などもあって画期的な取り組みであり、今後の都市再開発の一つの方向を示すものだという評価を得た。
 同社代表取締役社長の菰田正信氏は、「当社グループはまちづくりを通してさまざまな社会課題を解決すべく、SDGsの取り組みを推進している。当社創業の地である日本橋では、日本橋再生計画として、ミクストユースのまちづくりを進めている。このプロジェクトは、レジリエントでありエコフレンドリーな取り組みだ。今後も、サスティナブルなまちづくりを進めていきたい」などと挨拶した。

 日本不動産学会長賞は、(株)ARCO architectsによる「千住地域における空き家利活用を主軸とした多様な主体によるエリアデザイン」が受賞。東京都足立区で最も空き家率の高い千住地域における区、空き家大家、地元銀行、地元不動産事業者、近隣住民など多様な主体と協働した空き家利活用のためのプラットフォームづくりの取り組み。15年にスタートし、空き家利活用に関して啓発・普及や仕掛けづくりなどさまざまな要素を組み合わせて独自の仕組みづくりに成功した。商業エリアではなく、密集市街地の中での古い住宅を、デザインの力を通じて飲食等の拠点化することで、再生不動産として地域の価値を高めたことが高い評価につながった。
 同社代表取締役の青木公隆氏は「千住地域では、空き家の増加が社会課題として取り上げられている。足立区や大家、不動産事業者や地域金融機関と連携してさまざまな活動をしている。近年、北千住はさまざまなメディアで取り上げられることが多いが、学術研究は少ない。この受賞をきっかけに、北千住についての学術研究が増加することを願っている」と述べた。


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