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不動産学会、再エネ拡大に向けてシンポジウム

 (公財)日本不動産学会は4日、2021年度春季全国大会シンポジウムをZoomによるオンライン形式で開催した。

 今回のテーマは「再生可能エネルギーと地域づくり」。東日本大震災における原発事故後のエネルギー問題への対応や気候変動対策として注目されている再生可能エネルギー(再エネ)は、エネルギーの地産地消につなげやすいため、不動産開発等で先進的な取り組みがみられる。一方で、想定外の地域に大規模な発電施設が設置されるなど、地域の土地利用計画や環境・景観に対する課題も少なくない。事例紹介を通じて今後の再エネ導入促進策について論じた。

 認定NPO法人環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏が、「再生可能エネルギーの導入による地域づくりの未来~国内外の取り組みを通して~」と題して基調講演。飯田氏は、風力発電と太陽光発電が増加する世界的なエネルギー動向を紹介しつつ、デンマークをはじめとした再エネ先進国の技術や規制・ルールといった取り組みについて紹介。日本でも太陽光発電が今後もポテンシャルを秘めているとしながら、高度な政策の実行力が課題だとした。

 その後、東京工業大学環境・社会理工学部特別研究員、麗澤大学経済社会総合研究センター客員研究員の長岡 篤氏をコーディネーターに、飯田氏や同学会会長である千葉商科大学学長・東京工業大学名誉教授の原科幸彦氏、日本大学経済学部教授の安藤至大氏、専修大学法学部教授の高橋寿一氏、(株)住環境計画研究所代表取締役会長の中上英俊氏をパネリストとしたパネルディスカッションも実施。
 各パネリストが自身の研究成果を発表した後、再エネを地域づくり生かすための方法や、地域経済への波及という観点も含めた再エネ拡大の方法および各主体の責任について意見交換した。各パネリストからは、再エネ発電施設立地のゾーニングや、賦課金も含めた国民の理解、政策のリーダーシップなど、さまざまな視点から意見が交わされた。


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