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米国の10階建て木造ビル振動台実験に参画/住友林業

試験体イメージ

 住友林業(株)は15日、2022年6月に米国カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)で実施する10階建て木造ビルの振動台実験に参画すると発表した。木造10階建ての実大試験体を使った振動台実験は世界で初となる。

 振動台実験(「NHERI TallWood Project」)はコロラド鉱山大学が中心に計画し、米国科学財団(NSF)が助成。試験体の建物にはポストテンション耐震技術(耐力部材に通した高強度の鋼棒やワイヤーロープに引張力を与えることで部材間の固定度を高める技術)を用い、中高層木造の耐震性能と建築技術を検証する。

 住友林業は、中大規模木造建築物実現に向けて、ポストテンション耐震技術を14年から研究。15年の筑波研究所の耐火検証棟に初めて同技術を採用し、19年に竣工した筑波研究所新研究棟でも採用している。

 今回の実験は脱炭素社会に貢献する非住宅木造建築の推進に向けての第1歩となり得るものとし、同社は実験費用の一部を負担し、得られる情報、知見を日本での耐震設計の参考にする。

 なお、米国では各州の建築基準の規範となるIBC(国際建築基準)が昨年改正。木造は18階建てまで建設可能となり、同改正に伴い実験を実施する。UCSD屋外振動台を用いて、1994年カリフォルニアで発生したノースリッジ地震(別名ロサンゼルス地震。マグニチュード6.7)で観測された地震波で木造10階建て(高さ34.14m)の試験体を実際に揺らして耐震性能を検証する。


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