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国土形成計画、地域生活圏で確保すべき機能を検討

 国土交通省は16日、国土審議会計画部会(部会長:増田寬也東京大学公共政策大学院客員教授)の2回目の会合を開催した。

 同部会では、新たな国土形成計画の策定に向けた検討を進めている。同計画については、「地方都市や中山間地域で生活サービスと所得・雇用の機会が維持・確保されていること(暮らし続けることができる)」といった「普遍的価値(目標)」の達成に向けた課題を踏まえ、「ローカル」「グローバル」「ネットワーク」の視点などから整理するとしている。

 今回は、事務局が国土形成計画で定めるローカルの視点(地域生活圏)において、確保すべき機能等の観点から整理した内容を発表。
 「地域生活圏」として、将来にわたって安心して暮らし続けることができるようにするためには、人口規模10万人前後の圏域を一つの目安に、デジタル技術の活用による日常生活・産業に不可欠な機能等の確保と、コンパクト+ネットワークの地域づくり等によるこれら機能のリアルの確保を実現する必要があるとした。

 機能としては、(1)普通に日常生活を送ること、(2)生活に必要なモノ・サービスを購入できるお金を「稼ぐ」ことができることは最低限必要であるとした。(1)は医療、高齢者等の生活を支援する福祉、社会生活を営む上で必要な知識等を身につける教育、日々の買い物、通勤・通学等のための移動などを挙げた。(2)については、既存の地域産業の成長(高付加価値化)や、新たな雇用と高所得を生み出す新規産業の創出や企業誘致のため最低限必要な機能を確保するべきとしている。
 また、デジタル革命を地域で実装するためのICT基盤の整備を進め、災害から命と暮らしを守るための防災・減災に万全を尽くすとともに、自然環境・景観の保全(再エネ活用含む)、文化芸術の継承等も進めていくことが重要であるとした。

 委員からは「コロナ禍で生活の在り方や働き方が大きく変わっている。1ヵ所に人が集まることを前提とした考え方そのものを見直してもいいのではないか」「10万人の生活圏の行政主体はどこになるのか、あらかじめ示しておいた方がいい」「一定エリアに一定の人口が密集していることが重要になるのではないか」「さまざまなことがオンライン化できるがモビリティの確保だけは必須、それをどのように実現するのかまで言及がほしい」等の意見が挙がった。

 次回会合(12月20日開催予定)では、地域生活圏に関する個別の課題・論点などを検討する予定。


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