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全宅連、銀行の不動産業参入に対して調査報告書

 (公社)全国宅地建物取引業協会連合会は「銀行の宅建業参入に係る検討について」の調査報告書を公表した。

 銀行業界では、政府与党に対して不動産業参入を認める規制緩和の要望を活発に行なっており、同協会ではこれまで断固反対の立場から活動を行なってきた。ただ、従来の不動産業界の死活問題を中心とした反対運動だけでは限界があると判断。理論的な反対意見を構築するため、同協会の不動産総合研究所に「金融機関の不動産業参入問題検討会」を設置。経済・金融の専門家らに対してヒアリングすると共に、海外の業務規制の現状について研究した。

 学識経験者のヒアリング結果では、「融資と仲介の抱き合わせ営業による利益相反やモラルハザードが生じる」「住専問題やかぼちゃの馬車事件から、モラルハザード発生懸念が強い」など、融資を担う銀行が不動産業を手掛けることによるモラルハザード懸念を上げる声が多かったという。また、「資金量や情報力によって市場独占・寡占となる可能性がある」など、市場の混乱につながる恐れを指摘する専門家もいた。

 海外の動向では、米国では2009年オバマ政権時代に銀行による不動産仲介への参入が永久に禁止された。また、英・仏・独といった欧州先進国についても、「参入は可能だが個別規制が強く実質的には不可能」(全宅連)だという。

 こうした研究結果を「要望書案」として落とし込んでおき、「今後、何か動きがあった際に機動的に動けるよう、準備を進めておく」(全宅連)という。


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