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23区オフィス需要、新規賃借の4割が拡大予定

 森ビル(株)は23日、「2021年 東京23区オフィスニーズに関する調査」結果を発表した。東京23区に本社が立地する企業で資本金上位の9,831社(同社テナントを除く)を対象に、10月6~29日に実施。有効回答社数は1,611社。

 新規賃借予定のある企業の割合は26%(前年24%)と増加し、うち4割が面積拡大予定となった。新規賃借の理由については、新設項目の「働き方の変化に応じたワークプレイスの変更のため」(30%)が1位に。次いで「賃料の安いビルに移りたい」(29%)、「立地の良いビルに移りたい」(26%)が続いた。また、過去1年間で賃料改定があった企業は、ほぼ例年通りの19%。

 コロナ禍における働き方やワークプレイスの変化について、現在の出社率の平均は62%で、出社率80%以上の企業は36%だった。コロナ禍収束後の出社率予想は、平均74%となった。

 従業員のオフィス復帰のための課題の1位は「ディスタンス確保」(42%)。次いで「オンラインコミュニケーションツールの導入や拡充」(39%)、「従業員が魅力的に感じるオフィスへの改善・改修」(33%)など。

 一方、多様なワークスペースの導入状況では、「オープンなミーティングスペース」が57%(前年51%)、「web会議用スペース」が51%(同40%)、「集中ブース・作業スペース」が34%(同28%)と、新しい働き方を見据えてオフィス・リモートワーク両面での環境整備・機能強化を進める企業が増えている状況が伺える。

 オフィスビルの共用施設ニーズでは、「社員食堂・カフェテリア・ラウンジ」(68%)、「リフレッシュスペース」(60%)、「会議室」(54%)が上位となった一方、「運動できるスペース」(31%)、「仮眠室・瞑想室」(28%)、「マッサージルーム」(24%)など、従業員の健康管理に関する施設ニーズも一定数見られた。

 ワーカー向けサービスへのニーズでは、「昼食に関する優待」(63%)、「喫茶に関する優待」(48%)、「社内懇親会向けの飲食店舗優待」(35%)など、飲食に関する優待サービスのニーズが高かった。

 同日開催した記者説明会で、同社営業本部オフィス事業部営業推進部部長の竹田真二氏は、「今回の調査では、新規賃借予定企業の増加など、経済活動正常化への動きを背景とした企業心理改善の兆しが見られた。一方、ニーズが多様化したことで、単純に賃料や面積での比較ではなく、オフィスを選ぶ判断材料が増えている。従業員のマネジメント、新規事業創設のためのアイディア創出などさまざまな角度からオフィス環境を考えないといけない時代。今後、サービスを含めて評価されるビルとそうでないビルとの二極化が進んでいくだろう」などと話した。


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