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後期高齢者、自宅での運動機会の確保が重要に

 旭化成ホームズ(株)シニアライフ研究所は、シニア向け賃貸住宅「ヘーベルVillage」で自立生活を送る後期高齢者に実施した「健康度とくらし方に関する調査」結果を発表した。

 調査対象はヘーベルVillage13棟の入居者159人。健康寿命延伸のポイントである「運動・食事・交流」の3点について、2019~21年にアンケート調査・測定調査・面談記録分析・インタビュー調査を実施した。「ロバスト(健常)」「プレフレイル(前虚弱)」「フレイル(虚弱)」の3区分で集計している。

 その結果、「運動」の面では、健康度が低いほど習慣にしている割合が低い結果に。ロバスに比べてフレイルは、外出頻度では39pt、軽い運動・体操の習慣では69pt、スポーツの習慣では52pt低いことが分かった。一方で、健康度が低くても外出の頻度が高い人や、運動習慣がある人は存在していることから、運動の内容に着目したケーススタディを実施。健康度によって運動の強度が異なることが分かった。ロバストでは散歩やウォーキングに加え、テニスやゴルフ、登山など「強度の高い」運動が行われている一方、プレフレイル・フレイルでは、買い物ついでのウォーキングや散歩が主体となり、ロバストと比較すると強度の低い運動が行なわれていることが明らかに。

 「食事」の面では、健康度ごとの差が顕著なのは「食欲」だった。食欲が「ある」とする回答は、ロバスト53pt、プレフレイル39pt、フレイル29ptと低くなっている。一方で、10品目中7品目の多品目摂取についてはロバストからプレフレイルで8.3ptの減少に対し、プレフレイルからフレイルでは29.9ptと大幅に減少していた。なお、自分で食事を用意する頻度では健康度による差がなく、低い健康度でも維持されている傾向が見られた。食事に着目したケーススタディの結果、健康度によって「外部の食サービスの利用ニーズ」が異なる結果に。ロバストでは食材の買い出しから調理まですべて自分で行なわれているが、プレフレイル・フレイルでは「重いものは宅配サービスを利用している」などの実態があり、外部の食サービスの利用ニーズが高まった。

 「交流」については、健康度が低いと家族との交流が多くなり、友人との交流が少ない傾向があった。家族と週1回以上交流のある比率は、プレフレイルはロバストを14pt上回った。友人との交流では、ロバストとプレフレイルでは差がほぼないが、プレフレイルからフレイルでは14.2pt少なくなっている。一方で、「ヘーベルVillage」内の他入居者との交流では、健康度による差は小さくなった。交流に着目したケーススタディの結果も、同様の傾向を示す事例があり、健康度によって交流の「範囲」が異なる結果に。ロバストでは、学生時代の友人や会社のOB、ボランティア活動など、旧縁や地域コミュニティでの交流が活発な一方、プレフレイル・フレイルでは家族や「ヘーベルVillage」内での交流への言及が見られ、身近な環境での交流が充実している様子が見られた。


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