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建物のCO2排出量見える化の取り組みを加速

 住友林業(株)は27日、フィンランド・ヘルシンキのOne Click LCA社が提供する、建物のCO2排出量見える化ソフトウェア「One Click LCA」について、日本単独代理店契約を締結したと発表した。

 「One Click LCA」は欧州を中心に130ヵ国で利用され、ISOや欧州規格を含めた世界の50種類以上の環境認証に対応。ライフサイクル全体での環境境荷を評価するライフサイクルアセスメント(LCA)を通じて、建設にかかる原材料調達から加工、輸送、建設、廃棄時のCO2排出量(エンボディード・カーボン)等を算定することができる。

 欧州各国ではエンボディード・カーボンの見える化が進んでおり、環境意識の高いディベロッパー、オーナー、金融機関、投資家、テナント等が環境負荷の少ない建物を積極的に選択する事例が増えている一方、日本では居住時のエネルギー使用によるCO2排出量(オペレーショナル・カーボン)に比べて、エンボディード・カーボンの見える化や削減の取り組みは十分に普及していないという。住友林業は、国内外で環境配慮型の建築物を開発する中で、建物のエンボディード・カーボンの見える化が建設業界のカーボンニュートラル実現に向け重要であると考え、今回の契約締結に至った。

 今後は、住宅・不動産業界団体等に働きかけ、「One Click LCA」を通じたエンボディード・カーボン算定の基盤構築を目指す。また、より正確にLCAを行なうために、同ソフトと連携しているEPD(Environmental Product Declaration、資材の環境認証ラベル)取得に向けた木材・建材メーカーへの支援体制を構築。CO2排出量を削減するためのコンサルティング事業を通じて、建物のCO2排出量の実質ゼロを目指す「環境配慮型建物」の普及を促進していく。今回の取り組みによって、同社環境配慮型建物の価値向上やESG投資の促進などにもつなげたい考え。2月に同ソフトの日本版の開発に着手し、7月に販売開始を目指す。販売形態はSaaS(Software as a Service)の予定。料金は未定。


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