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アフターコロナにおけるオフィスビルの最新潮流を展望

 (一財)日本ビルヂング経営センターは27日、第23回新春特別ビル経営セミナー「アフターコロナにおけるオフィスビルの最新潮流~オフィスワーカーの快適性向上や次世代環境配慮ビルを考える~」をライブ配信で実施した。

 三菱地所(株)代表執行役執行役社長の吉田淳一氏が「ニューノーマル時代のワークプレイス戦略~リアルオフィスに求められる価値~」と題して講演。コロナ後の働き方はオフィスとテレワークのハイブリッド型のスタイルが定着すると予測できること、テレワークでワークライフバランスが向上した一方で、コミュニケーションや帰属意識の弱まりなどの課題が見られるようになっていること、ディスカッションや資料作成など業務の種類によってはオフィスの方が生産性が高いことなどが各種データから判明していることから、センターオフィスの重要性を強調。コア機能を高度化させ、多様化する働き方・働く場所をつなぐハブ拠点とする必要性を説いた。
 さらに、2018年1月に本社機能を集約移転した同社の空間づくりを例にとり、センターオフィスに必要な機能や同社の施策を紹介。本社で継続している実証的な取り組みとして、「オフィスのプレミアム化」「業務内容の高度化」「対面の価値最大化」を目的とするディスカッション特化型ルームについても披露した。

 続いて、都市計画が専門の千葉大学大学院工学研究院教授の村木美貴氏による「脱炭素都市づくりにおけるビジネス街区のあり方」を実施。同氏は、カーボンニュートラルの転換は、太陽光発電や再エネの利用などエネルギーの転換だけでは十分ではなく、建物側でのエネルギー利用を減らすことをもっと考えていく必要性があると指摘。脱炭素は簡単ではなく、ロンドンの脱炭素型都市づくりなどの実例を示しながら、どのように脱炭素を行なっていくかの方向性の提示が求められているとした。
 また、札幌市のエネルギープランを例にとり、CO2排出量削減だけを目的とするのではなく、「低炭素」「強靭」「快適・健康」という低炭素な快適都市づくりを目標とすること、目標値を明確にすることなどを示し、都心エネルギープランの検討の進め方を示唆。実現には開発と連動した脱炭素の検討など官民市民との協働が必要で、都市と建築という側面でのポイントとして「カーボンフリーエネルギーの導入と活用」「まち全体で賢くエネルギーを使う」「防災エネルギーを考える」「QoLの向上に寄与する」「エネルギーを超えて、複合的に考える必要性」を挙げた。

 そのほか、東急不動産(株)都市事業ユニット事業戦略部統括部長の仲神志保氏が、「課題解決を目指したまちづくりへの取組み」と題して、同社の再エネ事業、緑を取り入れた働き方を提案する同社開発ビルでの取り組み等を紹介。シービーアールイー(株)エグゼクティブディレクターリサーチヘッドの大久保 寛氏による「アフターコロナのオフィス市場」をテーマとする講演も行なった。


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