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都心Aクラスビル、空室率は9四半期ぶり改善

 三幸エステート(株)は3日、(株)ニッセイ基礎研究所と共同開発した成約賃料に基づくオフィスマーケット指標「オフィスレント・インデックス」(2021年第4四半期(10~12月)版)を公表した。

 東京都心部のAクラスビル(延床面積1万坪以上、1フロア面積300坪以上、築年数15年以内)の1坪当たり賃料は、3万696円(前期比4,238円下落)。前期まで4四半期連続で3万5,000円前後の推移となっていたが、当期は大幅な下落となった。中心部以外でリーシング活動が長期化、募集床が現空となったビルでは賃貸条件を引き下げて後継テナントを誘致する動きが広がっている。
 一方、空室率は3.2%(同0.1ポイント低下)と、9四半期ぶりに低下に転じた。テナント移転後の二次空室やオフィス戦略見直しによる大口募集床が現空となるなどといった状況は継続しているものの、築10年未満のビルを中心に館内増床やエリア内移転等で空室消化が進んでいる。

 Bクラスビル(1フロア面積200坪以上でAクラスに含まれないビル)は、坪当たり賃料2万188円(同20円上昇)。17年第4四半期以来となる1万円台を目前に、小幅な動きで踏みとどまった。空室率は4.3%(同横ばい)。オフィス戦略の見直しなどによる二次空室が現空となる一方、大口の需要もあり、空室床が消化した。ただし、オフィス需要自体はコロナ前の勢いを取り戻したわけではないため、空室率の上昇が継続する可能性がある。

 Cクラスビル(1フロア面積100坪以上200坪未満、築年数制限なし)は坪当たり賃料1万7,115円(同564円)と回復した。空室率は4.1%(同0.1ポイント上昇)で、7期連続で上昇したものの、上昇幅は縮小傾向となっている。複数の新築ビルが空室を抱えて竣工したことが上昇要因と考えられる。A・Bクラスビルに比べてテナントの動きが活発なことから、空室率上昇に歯止めがかかるかどうか注目が集まっている。


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