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リバースモーゲージ普及のカギは住宅の資産性向上

 (公社)日本不動産学会は18日、オンラインシンポジウム「リバースモーゲージの新展開~現状と普及のための今後の課題~」を開催した。

 長寿命化が進む日本において高齢者の生計維持・安定居住は社会的課題となっており、課題解決に向けてはリバースモーゲージが有用とされているが、なかなか普及が進んでいない。同シンポジウムではそうした状況を受け、アーバンクロス技術士事務所代表の村林正次氏、東京大学大学院経済学研究科特任教授の武藤祥郎氏、(独)住宅金融支援機構国際・調査部調査担当部長の豊島義之氏、上智大学経済学部教授の竹田陽介氏がリバースモーゲージのさらなる普及に向けた課題点等を整理した。

 村林氏はリバースモーゲージの課題として、「住宅の資産価値の低さ」を指摘し、「住宅の機能・性能を向上し、担保としての不動産資産の価値向上を図る必要がある」と話した。豊島氏は住宅ローンを取り扱う金融機関を対象とした調査結果(対象機関:301、回答機関:272)を基に、実務者サイドの課題点を報告した。「回答者の75.9%が高齢者および相続人への商品説明が難しいとしており、この点が最も課題視されている。また、居住者が長生きすることにより担保評価額分の融資限度額を超過する“長生きリスク”の管理についても5割近い実務者が課題を感じているようだ」(同氏)。

 登壇者によるパネルディスカッションも実施。コーディネーターを務める麗澤大学経済学部准教授の大越利之氏が「リバースモーゲージ普及のために必要なもの」について問うと、「住宅の資産性向上。人生100年を意識して若いうちから資産形成の意識を持つことで、住宅を取得する際にも資産性を重視するようになるのではないか」「国民の金融リテラシーを上げる必要がある。現状では、漠然と、高齢者になってから金融商品に手を出したくない、怖いと考え、利用を控える人も多い。また、説明を聞いても分からないという人も一定数いる」「類似商品がかなり多く、選びにくさがあると思う。取扱機関は商品の特色を分かりやすく示すべきでは」といった意見が挙がった。


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