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地場景況感、売買は首都圏・近畿圏共に弱含み

 不動産情報サービスのアットホーム(株)は24日、「地場の不動産仲介業における景況感調査」(2022年1~3月期)の結果を発表した。

 北海道、宮城県、首都圏(1都3県、東京は23区と都下)、静岡県、愛知県、近畿圏(2府1県)、広島県、福岡県の13都道府県14エリアにおいて、前年同期と比較した業況判断指数(DI)を算出した(「50」が前年並み)。アットホームの全国不動産情報ネットワーク加盟店のうち、都道府県知事免許を持ち5年を超えて不動産仲介業に携わる不動産店の経営者層を対象にインターネットで調査。調査期間は22年3月14~26日。有効回答数は2,049店。分析はアットホームラボ(株)。

 当期の賃貸仲介の業況DIは、首都圏43.8(前期比2.9ポイント上昇)と、2期連続で上昇。前年同期と比べても2.4ポイント上昇した。近畿圏は39.2(同1.5ポイント低下)、前年同期と比べても5.7ポイント低下しており、5期ぶりに前年同期の水準を下回った。全国14エリア中、8エリアで前期のDIを上回った。埼玉県、千葉県、神奈川県、宮城県、愛知県では40台後半となった。

 売買仲介の業況DIは、首都圏が43.9(同2.7ポイント低下)、近畿圏が39.5(同4.3ポイント低下)と、前期までの緩やかな上昇傾向から低下傾向に転じた。前年同期と比べても首都圏・近畿圏共にマイナスに転じた。14エリア中、前期のDIを上回ったのは3エリアにとどまったが、千葉県と福岡県ではDIが50を超えた。北海道、京都府、広島県では大幅な低下となるなど、回復傾向が見られていた前期から変化の兆しが読み取れる。

 22年4~6月期の見通しDIは、賃貸仲介が首都圏44.2、近畿圏42.1と、1~3月よりもやや上向いた。エリア別では7エリアが上昇し、北海道と福岡県は40台後半となった。売買仲介の見通しIDは首都圏44.0、近畿圏42.8となり、賃貸仲介同様に1~3月期よりもやや上昇した。エリア別では8エリアが上昇、近畿3府県はいずれも上昇が見込まれる。

 不動産店からのフリーコメントから頻出ワードを抽出すると、賃貸仲介では、「学生」「単身者」「法人」「コロナ」といったワードが上位となった。それぞれのワードを含む回答のDIを算出すると、「学生」が43.0、「単身者」が40.5、「法人」が57.4、「コロナ」が42.0となった。「学生」「単身者」については、「需要が減った」「単身物件の動きが悪い」といったネガティブなコメントが目立つ一方、「法人」については、「転勤で動く人が増えた」「個人契約よりも際立って多かった」などポジティブな回答が多かった。「コロナ」については、ネガティブなコメントが多いものの、回復を示唆するコメントも多く、コロナ禍からの回復を感じる不動産店が多いことがうかがえた。売買仲介では、「価格」「ロシア・ウクライナ情勢」「物価」の3ワードが上位に。いずれもネガティブなコメントが多く、業況引き下げの要因になっていると思われる。


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