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FRK竹村新理事長が会見、建物評価制度の見直し要望も

「当面は良好な市場環境が続く」と述べた竹村新理事長

 (一社)不動産流通経営協会の新理事長に4月1日付で就任した竹村信昭氏(住友不動産販売(株)代表取締役社長)が26日、専門誌記者と会見した。

 竹村氏は「コロナ禍が2年を超え、外出自粛や在宅勤務・リモートワークといった新たな生活習慣が定着。それによって、これまではあまり目立たなかった職場から遠くても広さや個室の多さを求めるユーザーが増えるなど、従来の駅近ニーズと共に『ユーザーニーズの多様化』が顕在化した。さまざまな需要が市場に出現したことから、不動産流通市場は取引量も増え、活況と言ってもいいのではないか。コロナ禍で出現した多様な買い需要が突然腰折れするようなことがない限り、当面は良好な市場環境が続くのでは」と市況観を述べた。一方で、懸念材料としてはウクライナ情勢による世界経済の混乱を挙げ、「直ちに日本の不動産市場に悪影響を及ぼすとは考えにくいが、世界経済が変調することも視野に入れておくべきであり、慎重に状況はみていく必要がある」と話した。

 直近の市況に関しては、「買いのニーズが依然として強く、価格が突如下落することは考えにくいが、東日本レインズの既存マンション在庫等とみると、徐々にではあるが、前年比増加に転じはじめている。健全な市場の動きと言えるが、緩やかな価格調整も視野に入れておかなければならない」などと語った。

 22年度の事業計画については、(1)建物評価制度の改善、(2)マンションにフォーカスした流通促進施策の提言、(3)FRK保有データを生かした会員へのマーケット情報の提供の3点を重点事項として進めていくと明らかにした。

 (1)では建物状況調査、フラット35適合証明調査など、建物の質を確認するための各種調査を統一したプラットフォームに再編し、ユーザーにも分かりやすい建物評価制度にしていくよう、国に改善を提案していく。また(2)については、戸建て中心の現在の流通支援策だけでなく、マンションの流通促進にも焦点を当てた政策を検討・提言していく。「現在の流通支援策は戸建てに適したものとして制度設計されていてマンションには適用しにくい側面もあった。戸建てだけでなく、マンションにも適用しやすい流通促進策を考えていきたい」(同氏)。

 5月18日に施行された改正宅地建物取引業法により、重要事項説明書等の書面電子化が実現したことに対しては、「FRKの調査では、電子署名交付を利用したいというユーザーが54.8%いる一方で、紙ベースでの書面交付を望む人も多い。当面は、電子書面交付も紙の書面交付も両方同時並行で進めていくことになるだろう。DXやIT化は国策であり、不動産流通業界も対応していかなくてはいけない」などと述べた。


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