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賃貸併用住宅、50歳以上での暮らしでメリット

 旭化成ホームズ(株)のくらしノベーション研究所内の二世帯住宅研究所は4日、「賃貸併用住宅の価値」の調査結果を発表した。

 旭化成ホームズで1982年に「賃貸併用住宅」を仕様化し、今年40周年を迎えたことを機に調査したもの。近年の賃貸併用住宅の実態、オーナーの意識や家族の変化への対応実態を明らかにした。同社で建設した築1~30年の賃貸併用住宅オーナーにアンケートを行なった。調査時期は2021年7~8月で、調査対象数は685件。

 敷地面積が平均で約66坪、中央値で58坪と住宅地の面積規模でありながら、3階建て以上が7割以上を占め、延床面積と敷地との比は平均138%と高度利用が行なわれていることが分かった。延床面積データが得られたものに限定すると、自宅面積は平均36坪、中央値では34坪程度であり、賃貸住戸は平均で3.8戸、面積は約38平方メートルと単身居住の住生活基本法における誘導居住面積水準(都市居住型)である40平方メートルに近づいている。

 3階建てが67%(築1~10年)を占め、4・5階建てと合わせて7割を超えた。自宅と賃貸の上下関係は階数が高くなるほど、最上階に自宅がある割合が多くなる傾向が分かった。2階建てでは最上階が賃貸のみ(1階が自宅のもの)が30%、最上階が自宅のみが37%と拮抗しているが、3階建てでは、最上階自宅型が67%、両用型を合わせると77%に達した。最上階がキッチンの場合は1階に玄関を設ける率が92%、ホームエレベータの設置率が73%と高く、1階までのアクセスが確保されている。

 調査対象のうち91%が、オーナーの住戸を1つの階にまとめることなどが可能な「ワンフロアライフ」に対応できる住戸であることが確認できた。ワンフロアかつ、住戸の主要な生活空間が1階、または階段を使わずにアクセスができるフラットアクセス住戸は71%で、3階建ての約半数がエレベーターを設置しており、高齢期にも住みやすい住戸になっている。

 同居家族人数は建設当初で築21~30年の3.8人から築1~5年では3.1人まで減少し、家族の少人数化が進んでいる。また、築21~30年では当初から1.3人減り、現在は2.5人となるなど、経年による家族の減少も明らかとなった。一方で39%が賃貸住戸に家族・親族が住むことを想定済みで、賃貸住戸に家族が住んでいる場合、42%は家賃徴収をしていることも確認できた。

 賃貸居住者に挨拶をするオーナーが8割。入居者の顔が分かるオーナーは7割で、80歳代の高齢オーナーでは50歳代の4倍以上立ち話をするなどの交流をしている実態もあった。

 同日開催した記者向けの発表会で、くらしノベーション研究所顧問兼二世帯住宅研究所所長の松本吉彦氏は「賃貸併用住宅のメリットとして、従来から言われている家賃収入や節税対策といった『経済価値』はもちろん、ワンフロアライフ、家族変化への柔軟な対応、コミュニティの形成といった『くらし価値』が見えた。50歳以上にも積極的に提案できる住宅である」と述べた。


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