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バーチャルホームステージングの利用に注意

 家具のない状態で撮影した室内画像に、CGの家具を仮想設置して入居後の生活イメージを演出するバーチャルホームステージングを導入する会社が増えている。ただし、(公社)首都圏不動産公正取引協議会によると「不動産の表示に関する公正競争規約」と照らした場合、利用には注意が必要だという。

 仮想設置する家具は、その部屋に搬入できることが大前提であり、何らかの理由で搬入できない家具を置くことは優良誤認を誘う不当表示に当たる。ファミリー向けの大型冷蔵庫や大型ドラム型洗濯機といった大型家電や、大型ソファ、天蓋付きベッドといった豪華な家具を仮想設置できれば広告効果も期待できる。しかし、物件によっては玄関の大きさや廊下の幅・形状等によって実際には搬入できないものも少なくない。そうした家具を置けるように見せることは、「優良誤認を誘引してしまっていることが明らか」とした。

 例えばグランドピアノなどの大型楽器をマンションの住戸に搬入する場合、住戸玄関の大きさが十分でも共用廊下の幅やエレベーターの大きさがネックとなって搬入できないケースがある。つまり、マンションのエントランスから住戸内の設置場所まで運搬できるものでなければならないというわけだ。

 同協議会では、こうしたトラブルを防ぐのはバーチャルホームステージングのシステム提供会社ではなく、個別の物件を熟知する不動産会社の役割だという。導入前にシステム会社と調整した上で、個別物件ごとに搬入可能な家具を選べるようにするなど、ユーザーが誤認しないように使用していく必要があるという。

 (株)不動産流通研究所が10月5日に発売した「月刊不動産流通2022年11月号」では、「不動産広告Q&A~デジタル時代の留意点~」と題した特集を掲載。コロナ禍で活発化しているデジタルツールを使った営業行為に関して、不動産事業者の認識・意図に反して「違反広告」になってしまう行為や留意点についてQ&A方式で紹介している。


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