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私募ファンド市場規模、26兆5,000億円に

 (一社)不動産証券化協会、(株)三井住友トラスト基礎研究所(SMTRI)は5日、第1回「不動産私募ファンドに関する実態調査」を発表した。2022年7~8月にかけて、国内不動産を対象に私募ファンドを組成・運用している運用会社を対象にアンケート調査を実施。77社から回答を得た。

 22年6月末時点の不動産私募ファンド(私募REIT含む)の市場規模は、運用資産額ベースで26兆5,000億円と、SMTRIによる前回調査(21年12月末時点)比で約2兆4,000億円増と推計。運用資産規模を拡大させた運用会社数が規模を縮小した運用会社数を大きく上回り、また円安進行を背景とした外資系運用会社だけでなく、国内運用会社でも大幅に資産規模を拡大する傾向が見られた。私募REIT市場も銘柄数・資産規模ともに順調に拡大している。

 デッド資金調達環境の変化については、「特に変化がない」が35社でトップ。次いで、「新規貸出を検討するレンダーの増加」(11社)、「レンダーの検討範囲(エリア・タイプなど)の拡大」(7社)、「基準金利からのスプレッドの拡大」(6社)となり、緩和方向の回答が厳格化方向の回答をわずかに上回った。

 エクイティ投資家の投資意欲は、「変化がない」が75%と過半を占めており、「低くなってきている」との回答はゼロだった。投資家属性別の投資額は、「国内富裕層」を除く国内投資家で「横ばい」の回答割合が上昇し、「減少」の回答割合が低下していることから、旺盛な投資需要が継続している状況がうかがえた。海外投資家でも「増加」の回答割合が上昇するなど、投資需要が一段と強くなっていることが分かる。

 新型コロナウイルス感染症拡大後の投資方針の変化については、「影響がなかった」(53%)が過半数越え。「影響があった」(47%)とした回答者に投資方針の変化について聞くと、回答数が最多となったのは「投資対象」についての回答(23社)で、そのうち「範囲縮小」とする回答は6割を占めた。「LTV水準の上昇」「投資エリアを地方に拡大」など項目によってはリスクオン姿勢の回答数が上回っており、コロナの感染拡大から間もない21年初頭と比較して、運用会社の悲観的な見方は後退していると分析した。


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