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M建て替えの合意形成、耐震・老朽化が大きな影響

 旭化成不動産レジデンス(株)のマンション建替え研究所が発表したデータによると、マンション建て替えの合意形成に経済状況の影響は比較的小さく、合意形成に向けては耐震性や老朽化といった要因が大きく影響することが分かった。これまでに実施してきたマンション建替事例を分析した調査報告書「従前マンションの概要と建替え等決議の状況分析」について、26日に開いたメディア懇談会で内容を説明した。

 同社のマンション建替実績は47事例、一部複数マンションの共同建て替え事例があるため49物件を建て替えてきた。このほか、現在20件の事業協力者として着工に向けて動いている。

 建替決議時点での築年数は平均45.6年。築40年以上のマンションが49件中37件を占めたが、早ければ築30年程度で建て替えを決断するマンションもある。また、建て替えを決断する理由については、「建物の老朽化」が最も多く、「耐震性の不足・不安」「バリアフリーの欠如」といった項目が上位だった。また、建物やライフラインの老朽化ではなく、現在の平均的な水準からかけ離れた居住環境や間取り・設備の陳腐化など、「社会的な老朽化」を理由とする建て替えも少なくない。

 さらに、一般的に言われる「経済条件が有利な従前マンションの方が建て替え等の合意形成を進めやすい」ことについて検証。47プロジェクトを経済条件別に4分類し、建替え決議の賛成率を集計したところ、最も経済条件が良いグループが95.63%と、最も悪いグループで93.64%と、大きな差は生じておらず、合意形成への経済条件の影響は大きくない。経済条件が厳しくても合意形成が至った理由については、耐震性や老朽化、管理不全といった問題が挙げられており、これらが合意形成の重要な要素であることが分かった。


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