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マンションミュージアム、学生等への情報発信強化

「長谷工マンションミュージアム」外観
「集合住宅の歩み」コーナーでは、アバターによるガイドを導入。一般向けと小学生向けを用意し、分かりやすく解説。来館者の質問にも答える

 (株)長谷工コーポレーションは、創業80年記念事業の一環として2018年にオープンした「長谷工マンションミュージアム」(東京都多摩市)の取引先以外への公開に力を入れていく。SDGsの観点から、地域の小学校や海外留学生の学びの場として、また海外の不動産業関係者の研修等に活用してもらう方針。

 同施設は、長谷工グループのマンション建設技術の研究・開発拠点「長谷工テクニカルセンター」の一部に設けられたもの。広さ約1,600平方メートル。長谷工グループの歴史や建設してきたマンションの変遷紹介にとどまらず、日本の集合住宅の歴史の紹介、間取りプランや設備機器を1970年代と2000年代で比較できる実大モデルルームなど9つのゾーンで構成する。

 建設・不動産事業者や長谷工グループ関係者だけでなく、一般ユーザーにマンションへ興味を抱いてもらうことを狙いとしてきたが、コロナ禍以降は見学者を制限。22年度末時点の累計来館者数は1万5,517名。このうち、地域住民や長谷工マンションユーザー、地域の小学生や海外留学生といった取引先関係者外の来館は3割にとどまった。コロナ禍が収束したことから、地域の小学生の社会科見学等に広く活用してもらう。

 「多摩ニュータウンエリアには、いわゆる『企業ミュージアム』が7つもあり、これらと連携して社会科見学の場として活用していただく。社会科の先生方が授業の予備知識を得るため来場いただくこともある」(長谷工マンションミュージアム館長・江口 均氏)。

 低年齢層や一般ユーザー、海外からの来場者の理解を容易にするため、展示方法のリニューアルや多言語化を順次実施。「集合住宅の歩み」のコーナーでは、23年1月から「アバターガイド」を導入。大人向けと小学生向けの2つのガイドを用意した。企画設計段階から建物が完成するまでの流れを紹介する「まるごとマンションづくり」コーナーでは、今主流となっている「BIM」によるマンション設計の体験ブースを22年8月に設置。来館者一人ひとりがタブレット端末を使い、BIMの設計シミュレーションを体験できる。

 また、19年9月より企画展示を行なってきた「マンション防災」コーナーは、関東大震災100年を踏まえて常設展示とした上で、近年被害が拡大している風水害への対応についての紹介を追加している。

BIM設計コーナーをリニューアル。ARと映像による設計シミュレーションを体験できるようにした
来館者一人ひとりにタブレットを渡し、模型の敷地に合ったマンションを設計してもらう。工期や工費、日影規制や間取りなどを決めながら、最も事業性の高いマンション設計をシミュレーションする
関東大震災100年を迎えることから、企画展示のマンション防災コーナーは常設に。近年頻発する風水害への対策についても展示


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