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米国で10階建て木造ビルの振動実験/住林

カリフォルニア大学サンディエゴ校で実施した振動台実験の模様

 住友林業(株)は、米国・カリフォルニア州で2023年4~8月に実施した、10階建て木造ビルの実大振動台実験の検証結果を22日に公表した。

 同社が参画する、コロラド鉱山大学を中心とする米国科学財団(NSF)および米国森林局(USFS)の助成プロジェクト「NHERI TallWood Project」の一環。ポストテンション耐震技術(※)を用いた試験体を建築し、中高層木造建築の耐震性能と建築技術の検証を行なっている。米国が実施した第1フェーズでは、米国西海岸地域の災害レベルに基づいた3段階レベルの地震波で耐震性を検証した。

 今回の第2フェーズでは、同社独自の実験を2023年7月28日~8月10日に実施。「NHERI TallWood Project」の試験体建物を、日本の耐震基準の地震力に耐えうる性能を持つ同社オリジナルのポストテンション仕様へと改修。日本国内で実際に発生した地震波や、建築基準法で性能確認が求められる地震波の耐震性能を検証した。

 検証の結果、阪神・淡路大震災級の大地震を含む複数回の揺れに耐え、安定性を保つことができることを確認。加振による振動エネルギーの多くをダンパーで吸収できたほか、全加振終了時、木材を含む構造躯体の損傷も見当たらなかったという。

 米国では、28年を目途にIBC(米国建築規準)にポストテンション耐震技術の設計法が追加される予定。同社では、今回得た知見を基に、同技術を中大規模木造建築のソリューションの一つとして国内外で展開していく考え。

※耐力部材に通した高強度の鋼棒やワイヤーロープに引張力を与えることで部材間の固定度を高める技術


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