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いえかるて、年間30万件の既存住宅登録目指す

「ストックビジネスが拡大する中で、いえかるてはますます重要になってくる」と語る齊藤広子代表理事

 (一社)住宅履歴情報蓄積・活用推進協議会は4日、住宅履歴情報(いえかるて)の活用拡大を目的とした5箇年(2023~27年)のロードマップ(中期事業計画)をまとめ、関係者に説明を行なった。

 同協議会は10年から「いえかるて」を運用。協議会に加盟する会員(情報サービス機関)が住宅履歴情報を登録。登録した住宅ごとに「共通ID」を割り当て、物件流通時や所有者による維持管理時に活用を促してきた。ただ、情報サービス機関は15年をピークに減少しており、現在の正会員数は発足時と同じ38社となり、21年度の共通ID発行件数も1万1,179件と発足時の1万8,498件を大きく下回っているほか、住宅履歴情報も342万件にとどまっている。

 同協議会では、データやデジタル技術の活用、良質な住宅ストックの形成とその流通促進という国策に合致するにもかかわらず普及が進まないのは、普及に向けた方向づけとシナリオが不足しているとして、専門委員会を設置して1年間にわたり事業計画を検討してきた。

 中期計画では、達成目標を「国民の豊かな生活に資する住宅情報資産の構築・活用向上」とし「ストック化への貢献」「住宅DX情報化への貢献」「持続可能社会への貢献」などを目指す。住宅履歴の登録拡大を図るため、新築住宅の履歴情報登録件数目標を年間5万件、既存住宅は30万件と設定した。宅建事業者、リフォーム事業者、住宅設備事業者の会員を増強する。

 一方、蓄積データの質の向上を図るため、履歴情報の標準化と各種統合データベースとの連携やAPI機能を強化。登録情報のコンプライアンスに向けた研究や、情報の一元化、BIM連携なども進め、その活用促進を図る。また、正会員は協議会の各委員会に必ず参加し、中期計画の目標実現に協議会一丸で取り組む。年間30万件を超える情報登録により、共通IDの発行件数は飛躍的に伸びると想定しており、中期計画終了時の共通ID累計発行件数50万件超を目指し、住宅履歴情報の公的データベースとして唯一無二のポジションを確立する。

 説明会で挨拶に立った同協議会代表理事・会長の齊藤広子氏は「空き家や管理不全マンション問題の解決など、ストックビジネスが拡大する中で、情報の開示、情報の社会化、それら情報を使いこなす専門家が必要になってくる。いえかるてはますます重要になってくるはずだ」などと抱負を語った。


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