(公財)日本賃貸住宅管理協会東京都支部(支部長:塩見紀昭氏)は15日、京王プラザホテル(東京都新宿区)で令和6年新年会を開催。会員、来賓など約350名が参加した。
冒頭、同協会会長でもある塩見氏が挨拶。「まずは、令和6年能登半島地震で被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げたい」と述べ、「われわれは、入居者に安心・安全・快適な住まいを提供する義務がある。賃貸管理事業者として震災に立ち向かっていかなくてはならない」と話した。
また、昨年末に発刊した「防災マニュアル」に触れ、同マニュアルの制作に携わった同協会常務理事の荻野政男氏は「災害に“まさか”はなく、防災にあたっては“備え”しかない。防災マニュアルのベースになっているのはBCP。有事の際、事業が継続できる体制を整えておき、その上で入居者やオーナー、地域の方々に手を差し伸べられるようにしていくことが重要。マニュアルを再度見直し、活用していただきたい」と呼び掛けた。
来賓として登壇した国土交通省関東地方整備局建政部不動産業適正化推進官の関 広克氏は、2023年に実施された賃貸住宅管理業者およびサブリース事業者への全国一斉立入検査について言及。「検査を実施した20社のうち、違反を確認した事業者は17社。指導率は85%と高い水準だった。検査実施の目的は違反の摘発ではなく、賃貸住宅管理適正化法の啓発という意味合いが強い。検査を契機に、多くの事業者が法令遵守に努めることで、会社自身を守り、ひいては業界全体の発展に寄与すると期待している」と話した。
海谷・江口・池田法律事務所弁護士で同協会理事の江口正夫氏は、「4月から、建築物の省エネ性能表示制度が始まる。制度が普及していくにつれ、ユーザーの関心も高まっていく。既存住宅については推奨レベルだが、この段階のうちに積極的に取り組んでノウハウを身に付け、不動産業界の中で有利な地位を確立していくことも必要ではないか」と言及。
住宅確保要配慮者の住宅問題を20年にわたり研究している、追手門学院大学地域創造学部地域創造学科准教授の葛西リサ氏は、「行政や民間団体と協力し、住宅確保要配慮者の住宅支援に協力していただけたら。震災後の居住支援においても、不動産事業者の役割は大きい」と述べた。