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首都圏の賃貸住宅市場、リーシング環境が改善

 三菱UFJ信託銀行(株)は2日、「2023年度 賃貸住宅市場調査」(23年9月時点)の結果を発表した。

 資産運用会社や賃貸管理会社など20社に調査し、回答率は50.0%。DIは「(ポジティブな回答の割合-ネガティブな回答の割合)×100」と定義する。

 エリア別の賃貸リーシングDIについて、テナント入れ替え時の賃料(23年秋の繁忙期との比較)では、東京23区のシングルタイプが68.4(前回3.1)、ファミリータイプが86.1(同28.7)。東京都を除く首都圏がシングル52.6(同0.0)、ファミリーが58.8(同26.3)と大幅に改善。とりわけシングルの改善幅が大きく、人口流入を背景に賃料の引き上げが進んでいると分析した。ファミリーについても、出社とテレワークのハイブリッドな働き方の定着からワークスペースを確保するニーズが強く、リーシング環境の改善が続いている。
 半年後の予想についても、テナント入れ替え時の賃料については、東京23区のシングルが68.4(同2.1)、ファミリーが72.2(同24.8)。東京都を除く首都圏のシングルが31.6(同マイナス5.6)、ファミリーが41.2(同26.3)と大幅に改善している。

 今後1年間のリーシングマーケット全体に与える影響が大きいと考える項目では、「個人の就業環境や収入の増減」がトップに。「テレワーク等の働き方の変化」「周辺環境へのこだわり等、個人の考え方の変化」と続いた。

 アフターコロナで注目すべきと考える変化については、「消費者の職住近接志向の高まりと都心での需要拡大」「外国人需要の回復」など、ポジティブなニュアンスの回答が多く見られた。一方では、「物価高の影響で消費者の目線が厳しくなっている」との回答も。

 環境配慮の取り組みでは、「すでに取り組んでおり、今後も積極的に推進する」「今後も継続して検討する」という前向きな回答の割合が9割超を占めた。具体的な取り組みは、「LEDや省エネ家電等の初期投資が小さい投資」が最多。環境に配慮された賃貸住宅とそうでない賃貸住宅を比べた際の成約賃料の違いについては、「違いはない」との回答が9割超を占めている。


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