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既存住宅の広告等に省エネ改修履歴を表示へ

 国土交通省は6日、「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度に関する検討会」(座長:中城康彦明海大学不動産学部教授)の5回目の会合を開いた。今回は、既存建築物の販売・賃貸時における省エネ性能表示を中心として検討を進めた。

 冒頭、4月の新築建築物を対象とした制度施行に向けた環境整備の状況について国土交通省が事業者向け、消費者向けの周知の取り組みについて説明。その後、既存建築物(住宅・非住宅)について事務局が検討内容等を提案した。
 既存建築物についても、建物特性や流通実態を踏まえた表示事項・方法を検討し、ガイドラインの改定版に盛り込むことを確認。当面の検討内容として、住宅については省エネ改修部位の表示に関するルールづくり、非住宅に関しては運用段階における実績値ベースの表示ルールの整備を検討することが提案された。また詳細な技術的検討に関しては、検討会に設置する技術検討WGで実施することとなる。さらに、より簡易に建物の性能を把握できる方法も検討していくことを確認した。

 その後、民間企業らがそれぞれの取り組みについてプレゼンテーション。積水ハウス(株)は、同社の賃貸ストックにおける設計図書の保有状況と、省エネ性能評価の方法について考察した。2014年以降築の物件では、CADデータがあることからウェブプログラムを使ったエネルギー計算ができ、新築と同様の評価ができる可能性が大きいとした。一方、それ以外の物件については、新築と同じ評価方法は困難だが、部位ごとのU値確認や現地確認、各種制度利用記録の利用などを用いて評価することは可能だとした。
 売買仲介をメインに手掛ける東宝ハウスグループでは、自社ホームページの物件ページにその特徴を示すアイコンを設定。省エネ関連についても、「リフォーム済み」「エネファーム」「長期優良住宅」などのアイコンを策定しているほか、省エネ効果の説明のために研修会を実施していることなどを紹介した。

 既存住宅の中でも、設計情報に基づく省エネ性能の表示が困難な住宅について国交省では、消費者に適切な情報提供がなされるべきだとして、「高断熱窓」「高効率給湯器」を中心に省エネ改修等が行なわれている旨を示すべきであるとした。このほか、外壁等の断熱や太陽光発電、太陽熱利用など、省エネ性能への向上への寄与度が高いもの、改修内容が一定程度普及しているもの、一般的に入居者自ら改修できないものなどを表示できるのではとした。

 これらに対して、出席した委員からは、「改修した部位を表示するのは良いが、改修時期についても表示すべきではないか」「さまざまな省エネ性能判断の基準があるが、どれかに統一することが望ましいのではないか」などといった意見が寄せられた。

 次回の会合は3月27日に実施。年度内は既存住宅の改修部位に関する表示ルールを中心に検討を進める。24年度以降は、実績値ベースの表示方法等について、継続検討していく予定。


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