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全日神奈川と神奈川宅協、マネロン対策で県警と協定

全日神奈川と神奈川県警の調印式。左は全日神奈川・佐々木本部長、右は神奈川県警・崎山刑事部長
神奈川県宅協と県警の調印式。左は神奈川宅協・草間会長

 (公社)全日本不動産協会神奈川県本部と(公社)神奈川県宅地建物取引業協会は、神奈川県警察本部との間で「犯罪収益の移転防止対策に関する協定」を締結。15日、両団体が調印式を行なった。

 宅建事業者は、同法において取引時の確認等を義務付ける「特定事業者」に位置付けられているものの、取引の個別性の高さなどもあり、不動産取引を悪用した犯罪収益移転(マネーロンダリング)であるとの判断がしづらい。そのため、マネーロンダリングが疑われる取引の届出件数が他の特定事業者の業界に比べても限られている。

 今回の協定は、神奈川県警と不動産業界の連携を深め、不動産取引を悪用したマネーロンダリング防止を促進するのが目的。同県警では相談窓口を周知するなどして、マネーロンダリングが疑われる取引があった場合に両団体会員が県警に届け出をしやすい環境を整備。両団体では、会員に対してマネーロンダリングが疑われる事例か否かのチェックシートを配布するなどしていく。このほか、犯罪収益の収受・隠匿の根絶に向けた活動に向け、両団体と県警が連携して広報・情報交換を行なっていく。こうした協定を銀行業以外と結ぶのは全国でも初めてのケース。

 神奈川県警刑事部長の崎山 慶氏は、両団体との調印式の席で、「不動産は、財産的価値が高いことや定価がないこと等により、マネーロンダリングに使われやすいと言われている。業界団体と協力した定期的な説明会の実施や相談窓口の設置など、業界の皆さんが気軽に相談できる環境づくりを行なっていきたい」などと述べた。

 また、全日神奈川本部長の佐々木 富見夫氏は「不動産会社が法律についてより理解を深めることで、安全・安心なまちづくりにつながっていくはずだ。県警との連携を深め、犯罪撲滅に向けて協力していきたい」とコメント。神奈川県宅協会長の草間時彦氏は、「宅建事業者の義務として、取引時の本人確認や取引記録の保存、疑わしい取引に関する届け出は日常業務においてすでに行なっているものであるが、今回の取り組みは、マネーロンダリングが疑われる取引の撲滅に向けてさらに推進していこうというもの。こうした取り組みについて神奈川から全国に発信していきたい」などと話した。


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