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土地基本方針改定案、低未利用地等の利活用を重視

 国土交通省は16日、国土審議会土地政策分科会企画部会の会合を開き、土地基本方針の改定案等について意見交換した。

 事務局が示した土地基本方針の改定案では、「人口減少・少子高齢化、世帯数減少」「東京圏等への集中・偏在、アフターコロナ時代の多様な生活様式への転換、DX・GX等の進行」「気候変動の影響等により災害の激甚化・頻発化」を現状の課題を位置付けた上で、取り組みの方向性・目標を「サステナブルな土地利用・管理の実現」とした。社会経済情勢の構造的変化や防災・環境分野における社会的要請を踏まえ、広域的・長期的な視点をもって限られた国土の適正・的確な利用・管理を推進することや、土地のポテンシャルを引き出すための規制の見直し、DX・GXなどを推進していくことを打ち出した。

 「土地に関する施策」においては、低未利用地や所有者不明土地に関する内容が盛り込まれた。低未利用地の発生抑制に関しては、官民の幅広い主体による「非宅地化」を含む土地利用転換の円滑化やその後の継続的な管理を確保する枠組みを構築することが提案されている。また、所有者不明土地についても発生抑制・利活用・適正管理等といった総合的な視点で対策を推進していくことが明記されている。

 都市に関しては、コンパクトシティや街づくりGXの推進、老朽化マンション対策などについても言及された。

 不動産市場の環境整備については、既存住宅のインスペクション促進や安心R住宅制度の普及を通じて売り主・買い主が安心できる取引環境を整備。また、官民の多様な主体が保有する不動産関係データを連携・活用を進めるため、不動産IDの社会実装に向けた取り組みを進めることも盛り込んだ。これに加えて市場での流通が難しい土地の流動化に向けて「全国版空き家・空き地バンク」の活用や土地利用転換など新たな方策を通じて需給のマッチングを推進すると共に、本格的なランドバンクの育成についても検討するとした。

 この他にも、土地に関する調査・情報提供等、土地施策の総合的な推進のために必要なことなどについて盛り込んだ。

 これを受け、各委員からは「防災や予防の視点で土地の持つ公共性を考えると、所有者不明土地や管理不全土地等の発生などについては規制強化を視野に入れてもいいのではないだろうか」「低未利用地等の管理や利活用の担い手を支援するためにデータ整備やDXなどを進めていくことが重要だと考えられる」などといったコメントが挙がった。

 今回挙がった意見を踏まえ、最終的な土地基本方針の改定案をまとめる。その後はパブリックコメント等を経て、6月ごろの閣議決定を見込んでいる。


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