(公財)不動産流通推進センターは8日、同センターが提供している「価格査定マニュアル」に、国土交通省が運営している「不動産情報ライブラリ」のデータを活用した新機能を追加し、運用を開始する。
同マニュアル(住宅地版)は事例比較方式を採用しており、条件を入力するとそれに合致する事例地候補が検索されて出力される。不動産事業は、現地調査と合わせて事例地データを参考にして価格査定を行なうことが多い。査定の材料となる事例地データとして、従来から4~9月は地価公示1万8,000地点と10月~翌年3月は都道府県地価調査1万4,700地点のデータを活用していた。「従来はこれにレインズのデータや自社の成約事例データから類似する条件のものを探して参考にしていたと考えられ、事例地を探索する手間がかかっていた」(同センター事務局)。
そこで、不動産情報ライブラリで提供されている「不動産取引価格情報」を事例地データに追加したことで、より広範でリアルな市場データに基づく土地価格の査定ができるようになった。今回のデータ追加により、事例地データの総数は最大で4万件を超える。特にこれまでカバーしきれていなかった市街化調整区域や都市計画区域外の情報も大幅に拡充することになるため、より高精度な査定が期待できるという。「特に地価公示は都市計画区域外のデータ数が少ないため、4~9月は事例数が極端に少なかった。取引価格情報で1,000ヵ所の事例地データが追加される」(同)。
また、顧客に提出する提案書の作成機能も充実させる。査定対象の物件の周辺の成約事例を取引価格情報からピックアップし、提案書そのまま転載することが可能になる。そのため、検索や入力の手間を大幅に削減。また、地価公示価格等の時系列での推移も自動でグラフ化できるため、視覚的な効果も期待できるという。
同センターでは、「現在、価格査定マニュアルは数千社が利用している。より業務効率化できる使いやすい仕組みにすることで、利用促進を図るとともに、小規模事業者のDXのきっかけにしてもらいたい」としている。