旭化成ホームズ(株)マンション建替え研究所は7日、東京都千代田区の同社でメディア関係者を招いた勉強会「高経年マンション再生問題メディア懇談会」を行なった。今回で12回目。「これからの高経年マンションの管理と再生・法改正の効果」をテーマに、東京都住宅政策本部民間住宅部マンション課長の井上公之氏と、同研究所所長の重水丈人氏がそれぞれ講演した。
井上氏は「東京都におけるマンションの管理適正化や防災力向上に向けた取組みについて」と題して、都内のマンションストックの現状と適正管理、再生に関する取り組みを紹介した。「都内の分譲マンションの総戸数は2024年度末時点で約203万戸、都内の総世帯数の約4分の1に相当しており、主要な居住形態として広く普及している。このうち、築40年以上のマンションは23年時点で42万8,000戸、これが25年後には146万1,000戸になる見込みだ」などと高経年化を危惧。1983年以前に建築されたマンション1万1,200件のうち、管理不全の兆候があるマンションが1,776棟となっているという。
これらの背景から、都では2025年度にマンション管理士を一定期間無料で派遣して組合運営の立て直しを図る「管理不全予防・改善支援事業」を開始。さらに、26年度からは耐震診断未実施のマンションへの戸別訪問や無料の専門家派遣などの支援を拡大している。このほかにも、最新のマンション管理組合支援・管理運営の適正化・健全化策を紹介した。
その後、重水氏が「法改正後、決議数4倍に!事例から読み解く建替えの実態」と題して講演した。いわゆる改正マンション関連法(区分所有法、マンション再生円滑化法等)が4月に施行されて以降、同社が携わる建て替え決議が13件に上っていると報告。過去10年平均の約4倍という数字であり「法改正によって決議を進めやすくなった」(重水氏)。その多くで、改正法によって緩和された議決要件が適用されている。すでに決議が行なわれた5件のうち1件は、賛成議決権の割合が77.0%と、法改正による緩和がなければ議決できなかったケースもあった。「区分所有者が少なく一人当たりの議決権割合の大きい小規模なマンションでは、新制度の恩恵は大きい」(同氏)。
また、法改正によって従来は「建替え」か「マンション敷地売却(解体必須)」だった決議の選択肢が、「建替え」「建物敷地売却」「建物取壊し敷地売却」「取壊し」「再建(建物滅失時)」「敷地売却(建物滅失時)」「建物の更新」という7種類の決議に広がったことについても言及。「建物の状態や区分所有者の以降等に応じて選択する時代になった」(同氏)。同氏はマンションの敷地売却に着目し、工事費の高騰などにより、建て替えにおける必要負担が増加するため、「再取得ありき」ではない再生の検討が必要になると指摘した。