不動産ニュース / 団体・グループ

2011/12/12

「平成24年度税制改正大綱」に各業界団体がコメント

 政府与党が16日発表した「平成24年度税制改正大綱」ついて、各業界団体のトップから以下のとおりコメントが発表された。

【業界団体】
(社)不動産協会(RECAJ) 理事長 木村惠司氏
(社)全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連) 会長 伊藤 博氏
(社)全日本不動産協会(全日) 理事長 川口 貢氏
(社)不動産流通経営協会(FRK) 理事長 袖山靖雄氏
(社)日本ビルヂング協会連合会 会長 高木 丈太郎氏
(社)不動産証券化協会(ARES) 会長 岩沙弘道氏
(社)住宅生産団体連合会(住団連) 会長 樋口武男氏


◆(社)不動産協会(RECAJ) 理事長 木村惠司氏

 円高や株安の進行、欧州の債務危機に端を発した海外景気の減速など、我が国経済の先行きに不透明感が増し、財政状況も非常に厳しい中、国際競争力の強化を図るための国内投資促進税制や良好な住宅ストック形成に資する税制など、当協会の要望が概ね認められたことを高く評価する。ご尽力頂いた関係各位に対して、厚く御礼申し上げたい。

 特に、固定資産税に係る住宅用地の特例や商業地等の負担調整措置の継続、新築住宅に係る固定資産税の軽減特例の延長、長期保有土地に係る事業用資産の買換え特例の延長、住宅取得等資金の贈与に係る特例の拡充・延長が認められたが、これらの特例は、震災からの復興に向け、日本経済を活性化させる上でも極めて効果が大きいと考えている。今回の税制改正を踏まえ、当協会としても、被災者の生活再建や被災地の一日も早い復興に向け、日本経済活性化のために貢献していきたい。

 なお、消費税率引き上げを含む社会保障と税の一体改革について、素案の年内とりまとめに向けた議論が行なわれているが、住宅は豊かな国民生活の基盤であり、価格が極めて高額である。取得時の消費税負担も極めて重く、消費税率が引き上げられると、内需の柱である住宅投資に水を差すことにもなる。消費税率の据え置き、負担増分の還付など、これ以上負担を増加させない特段の措置が不可欠である。


◆(社)全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連) 会長 伊藤 博氏

 本会では、国民の生活基盤の確立と日本経済活性化の観点から、住宅取得支援を促進するための税制特例措置の改善や適用期限の延長等について、都道府県宅建協会と連携し、国に対して提言活動を展開してきました。

 平成24年度の政府税制改正大綱において、本会が提言活動を行なってきた、新築住宅に係る固定資産税の減額措置の堅持、不動産取得税にかかる特例措置、住宅取得資金に係る贈与税非課税制度の拡充・適用期限延長等が盛り込まれたことについては、国等が苦しい財政事情の中で、住宅取得の負担軽減に資する施策を維持していただいたものとして評価できるものであります。

 ただ、特定の事業用資産の買換特例の延長については、300平方メートル未満の事業用地が適用除外とされているために、中小規模の事業所の移転等について一部影響が懸念されるところであります。

 また、消費税については、税率の引き上げを住宅にそのまま適用することは、国民生活の基本要素である住宅取得をおびやかすこととなるので、住宅取得に関しては消費税の税率を据え置くか、軽減税率の導入や各種流通税(不動産取得税、登録免許税、印紙税等)の抜本的な見直し等により、住宅取得時の実質的な税負担増を回避するよう、今後の「税と社会保障の一体改革」の議論の中で引き続き提言してまいります。

 全宅連では不動産総合研究所を設置して、有識者や専門家を構成員とする研究会を開催し、国に対して提言する土地住宅関連税制・土地住宅政策の検討や、国民が安心して中古住宅を購入できるための、質や価格等に関する基準構築等の研究を行ない、国民の良質な住宅取得の促進を通して、不動産流通の活性化を図る活動を展開しており、今後もこれらの活動に尽力していく所存であります。


◆(社)全日本不動産協会(全日) 理事長 川口 貢氏

 今回の税制改正は増税色が強いのではないかと危惧していたが、固定資産税の軽減措置がほぼ現行どおりに延長が認められたことは何よりの成果だ。ご尽力をいただいた関係各位に感謝申し上げたい。住宅に係る消費税についても、予断を許さず動向を注視していきたい。


◆(社)不動産流通経営協会(FRK) 理事長 袖山靖雄氏

 今般発表された税制改正大綱は、ユーロ危機の深刻化による世界的な金融収縮の影響もあり、今後の見通しが不透明な日本経済を、内需の拡大を促進させ回復軌道に乗せるという観点等に配慮し決定されたものと考えている。
 不動産流通市場においては、東日本大震災により落ち込んだ既存住宅取引は7月頃まで緩やかな回復基調にあったが、それ以降は経済状況を反映してか伸び悩んでいる。

 今回、当協会から要望していた住宅取得等資金に係る贈与税の非課税枠の延長や不動産取得税に関する特例措置の延長、特定事業用資産の買換え特例制度の延長については、現在の不動産流通市場の状況を判断されたうえでの内容であると思う。
 また、創設された認定省エネ住宅に対する減税幅の拡大については、住宅の「量」から「質」の転換を目指してのものであると評価するが、「新成長戦略」で掲げられた2020年までに既存住宅の流通規模を倍増するという目標に対するより直接的な税制上の支援を今後も期待したい。

 一方、課題として挙げられている不動産取得税等の見直しについては、今後想定される消費税増税と現在重複課税されている不動産流通諸税等との合理性・妥当性等の観点からの総合的な検討を行うことをお願いいたしたい。
 最後に、今般の税制改正にご尽力いただいた関係者の皆様に厚く御礼申し上げたい。


◆(社)日本ビルヂング協会連合会 会長 高木 丈太郎氏

 今回の税制改正大綱において、商業地等に係る固定資産税・都市計画税の条例減額制度等、当連合会が要望した既存税制の延長項目が盛り込まれていることは評価したい。

 一方、事業用建築物に係る耐震改修促進税制の創設要望が実現しなかったことは、首都圏において大震災が発生した場合に甚大な被害が想定される中で遺憾である。

 当連合会としては、今後とも会員の要望を踏まえ、都市の安全・安心に資する政策を要望していきたい。


◆(社)不動産証券化協会会長(ARES) 岩沙弘道氏

 資産デフレや円高、世界経済の減速懸念等、不確実性が一段と高まる中、我が国経済が持続的な成長を実現するには、震災からの復興を新しい日本の創生に結びつけるとともに、国内外の投資を促進し、不動産投資市場を活性化することが重要である。

 平成24年度税制改正大綱において、当協会が要望した「特定の事業用資産の買換え特例措置(長期保有資産からの買換え特例措置)の延長」、「土地・建物(住宅)に係る不動産取得税の軽減税率等の特例措置の延長」が措置されたことは、我が国における不動産投資を促すものであり、高く評価したい。

 しかしながら、当協会が要望していた「Jリートにおける買換え特例措置(譲渡益の内部留保)の導入」は見送られた。不動産投資市場は、資金の循環を通じて都市再生や地域活性化を促進し、日本の成長を牽引する役割を担っている。同措置の導入はJリートによる再投資を促し、市場の活性化に寄与するものである。

 平成25年までに、投資信託法制の見直しの検討が行われる予定である。不動産投資市場が国際的イコールフッティングを実現できるよう、今回見送られた措置も含め、法制面・税制面での市場環境整備に取り組む所存である。


◆(社)住宅生産団体連合会(住団連) 会長 樋口武男氏

 住宅関連税制は、住団連の要望していた、新築住宅等に係る固定資産税の軽減措置の延長、並びに、認定長期優良住宅に係る特例措置の延長、さらに、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税枠の拡大、認定省エネ住宅(仮称)に係る住宅ローン減税制度の創設が認められました。これらの措置は、これからの低炭素社会を目指すためにも、良質な住宅ストックを供給する上でも評価ができる税制改正大綱といえます。

 今後、「社会保障と税の一体改革」で、消費税の議論が活発化してくると思われますが、住宅取得・保有に係る税は多重多岐にわたっており、住宅に係る消費税について、これ以上国民の負担が増加しないよう、特段の措置を要望してまいります。
 経済環境は依然厳しい状況が継続していますが、住宅産業界は良質な住宅の普及・促進を推進し、内需拡大、地域経済の活性化に貢献すべく努力してまいります。
                     

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