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2016/6/30

米・英・仏のリバースモーゲージ等に関する調査結果を報告/不動産流通推進センター

報告会の様子
報告会の様子

 (公財)不動産流通推進センターは29日、「不動産コンサルティングに関わる海外調査報告会」を開催。米・英・仏国における高齢者の生活安定策に関する調査結果を報告した。

 超高齢社会の到来を踏まえ、高齢者の安定した老後の生活を確保するために、保有不動産を活用する海外の制度を調査。日本における類似制度の普及の可能性と課題を探り、日本の不動産事業者がいかに関わっていくべきかの検討材料とするのが目的。

 報告会では、(株)ニッセイ基礎研究所社会研究部上席研究員土地・住宅政策室長の篠原 二三夫氏が、英・仏のリバースモーゲージ(エクイティ・リリース)の仕組みについて報告。英国では公的年金のスリム化が進行。「将来のために不動産投資を行なうことが当然であると考えている。エクイティ・リリースの需要は今後も拡大し、さらに弾力的な条件を持った新たなタイプの商品化が行なわれる可能性がある」とした。
 一方、仏では、英米のようなリバースモーゲージはなく、ヴィアジェと呼ばれる不動産取引の仕組みが高齢者の住宅資産の流動化のために確立。「ヴィアジェの年間取引数は2015年現在で約4,500件。20年までには6,000件を超し、徐々に需要が高まる見込み」などと話した。

 続いて、麗澤大学経済学部教授の太田秀也氏が、米国における調査結果を報告。米国のリバースモーゲージ(HECM)の特徴について、「現在、世界各国で提供されているリバースモーゲージの中で、最も高い融資掛け値(LTV)が得られ、住宅資産価値を有効に使える」と解説。HECMの金利・融資形式の推移や、実施地域、利用者の平均年齢の推移、制度の見直し等について紹介した。

 明海大学不動産学部教授の周藤利一氏は、日本における対応を考える上での視点について言及。「今日の超高齢社会においては、生まれてからリタイアするときまで、リタイア後の2トラックの住宅すごろくが必要」であるとし、「リバースモーゲージやシェア居住などは、高齢者にとって第2トラックの住宅すごろくの多様化を実現する手段の一つとして位置付けることができる」とした。

 調査内容の詳細は、近日中に同センターホームページに掲載する予定。

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