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2016/10/20 18:00 更新

vol.308 空に近い町

1週間のキャンプの予定だったが、天気が崩れそうなので下山してきたという元気そうな女性(コロラド州デュランゴ。以下同)

これから山に入るというカップル。ここは海抜2,000メートル以上ある高地だ

彼らカップルは他のハイカー達を助けたりアドバイスするボランティアである。1週間山の中でキャンプするそうだ

登山列車から降り、ここからアニマス川を筏で下る。さまざまな用品を用意している

ラフティングは盛んで、数時間かかってデュランゴの町までアニマス川を下るツアーも組まれている

車の汚れ方やしっかりと防備した服など、大ベテランにちがいない。旅行中のオフロードバイカー達

舗装していない山岳地帯をぶっとばす勇壮なアメリカ人も少なくない。これらはレンタルのATV (All Terrain Vehicle)。どこでも進める機能万能の車両

 デュランゴはアウトドア志向、青空に染まりそうな海抜2,000メートルの美しい町である。ロッキー山脈がコロラド州を縦断し、アスペンやボルダー、グランドジャンクションなどスキー場として名高い町が多いが、デュランゴも同様。スキーに加えてハイキングやキャンプ、いかだやカヌーの川下り、サイクリング、マウンテンバイク、ロッククライミングなど1年中戸外で楽しむスポーツの基地である。

 そして自然と共生を図ろうと努力している町でもある(www.durango.org)。

野生動物に配慮。ごみ処理には厳しいルール

 デュランゴは自然林に囲まれているせいで野生動物が多く、ゴミ処理は規則が多い。特に熊が町中まで出没するので、ゴミ箱は蓋がきっちり閉まる工夫がしてある。

 家を留守にする時はそこいらに(室内でも)食べ物を放置しないよう住民は気をつけている。家に戻ったら熊がケーキの大きな箱を冷蔵庫から持ち出す場面にぶつかり「冷蔵庫にはベーコンも入っていたのにね、熊の誕生日だったのかしら?」とのんきな友人。

 熊は匂いを車の外からも嗅ぎつける。ピッツァをうっかり車内に残しておいたら、熊が車の取っ手をあけて(!?)ピッツァを食べて出て行ったと話す別の友人もいた。車内に残っていた熊の爪痕を見たが、相当な大きさだったと想像できた。

 デュランゴではグリズリーベアと違い、ブラウンベアなので獰猛ではないそうだが…。

 熊は一度捕獲すると首輪をつけ市の監視下に置く。2度目の捕獲までは許されるが、3度目には処分されてしまうので、そうならないように住民は食べ残しの処分には神経質なほど気をつけている。

庭先は鹿のねぐらに…

 エルサは山の裾野に住んでいる。家の向かいにある崖は動物達の交通路になっているらしく、2階のスタジオから熊、マウンテンライオン、鹿、狐、アライグマ、リス、野ウサギなどが頻繁に行き来しており、製作の合間に観察して楽しんでいるそうだ。

 広い庭の片隅は鹿のねぐらに占拠され、常時4〜5頭が寝ている。庭には大きなリンゴや梨の木があり、収穫時にはたわわに実がなるが、友人達に呼びかけて果実を採りに来てもらい、野生動物に餌付けをしないよう努めている。

過酷な山岳レースに世界中から参加

 デュランゴはハイキングとキャンプのメッカでもあり、町から周辺の山々へと四方八方にトレイルが伸びている。トレイルヘッド(出発点)に車を置き、数日間山に入って野営したり隣の山へ縦走する人も多く、皆、寝袋や食料を背負っていく。

 彼らにアドバイスをしたり、必要があれば救助にも向かうボランティアが大勢いて(友人のダンもその一人)、キャンパー達が危険なく楽しく過ごせるよう、さらに森林や動植物を守るように気を配っている。

 自転車レースやマラソンも盛んだ。デュランゴから隣の高地テルライドまで山岳をマラソンする大会(100kmと推測)がある。また、「Wマラソン」と言って、普通のフルマラソンを終えた翌日に山のトレイルをハーフマラソンする凄まじいレースも用意されている(どちらかだけの出場も可)。

 これらの大会目指して世界中から豪胆なランナー達がデュランゴを訪れる。

人口2万人足らずだが、魅力あるコミュニティ−

 一年中通してさまざまな催しがデュランゴの町の戸外で行なわれる。夏は公園でクラシック、ロック、カントリー、フォークなど無料の音楽コンサートが催され、友人達は誘い合って自転車でやってきて芝生に毛布を広げてサンドイッチを分け合いながら楽しむ。ボランティアの演奏家もいれば全米で有名な音楽家も出演。あちらこちらで知人に出くわす場合も多い。

 初夏にはアラミス川の上流からデュランゴの町まで筏下り大会が行なわれる。ゴール付近の橋の上から人々は水鉄砲で選手達に一斉射撃をするそうだが、大のおとなが子供のようにはしゃぐ様子が目に浮かぶ。

 冬には西部劇風に身をかためカウボーイハットをかぶり、馬にまたがった騎手がロープで選手のスキーヤーを引き、平地を走る。馬は真っ直ぐゴール目指して疾走するが、スキーヤーは横に雪を積み上げて作られた小山をババーン!とジャンプ、多くの選手が転倒し、観衆の大喝采を浴びる。

 昔は炭鉱で栄えた町なので「ワイルドウェスト」の荒っぽい気風満々。ゴール後はビールで大騒ぎをするとか。

 人口17,834人の小さい西部の町デュランゴは、コミュニティーとしてまとまっている印象を受けた(/www.city-data.com/city/Durango-Colorado.html#b)。


Akemi Cohn
jackemi@rcn.com
www.akemistudio.com
www.akeminakanocohn.blogspot.com





AKEMI NAKANO COHN

明美コーンコーン 明美
横浜生まれ。多摩美術大学デザイン学科卒業。1985年米国へ留学。ルイス・アンド・クラーク・カレッジで美術史・比較文化社会学を学ぶ。 89年クランブルック・アカデミー・オブ・アート(ミシガン州)にてファイバーアート修士課程修了。 Evanston Art Center専任講師およびアーティストとして活躍中。日米で展覧会や受注制作を行なっている。 アメリカの大衆文化と移民問題に特に関心が深い。音楽家の夫と共にシカゴなどでアパート経営もしている。 シカゴ市在住。

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